もらった退職金2000万円は運用するべき?

もらった退職金2000万円は運用するべき
長年勤めた会社を引退すると貰える退職金。2000万円というと、まとまったお金なので扱いに困ったり、使い道に悩む方もいらっしゃると思います。預金に置きっぱなしになってしまうことも多いですが、今の時代運用は不可欠であると言えます。

 

ここでは元証券ウーマンのさくらが、退職金運用の必要性と、用途に合わせた運用方法、失敗事例も合わせて解説致します。一般的に退職金はだいたい2000万円と言われていますが、本当に2000万円も貰えるのでしょうか?

この記事の要点

・ゆとりある老後に必要な資金は夫婦合わせて月38万円
・退職金2000万円の運用は資金性格別にして効率良く

退職金2000万円はもうもらえない?金額は年々減少傾向にある

厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」によると、退職金制度のある会社は80.5%となり、退職する人の8割が退職金を受け取っています。

参照:>>厚生労働省「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」(外部リンク・PDF)

 

退職金を支給する会社は多いですが、金額は減少傾向にあります。

 

退職金額の変化

 

参照:>>厚生労働省 退職給付(一時金・年金)の支給実態30年度(外部リンク)

 

ここ15年で700万円ほど減っていることがわかります。2000万円貰える人はごくわずかだったのですね。年金が減っていくのは皆さんご存知かと思いますが、退職金も減っていることは知らなかった方も多いのではないでしょうか?貰える額が減っているので運用の必要性がさらに高まっていると言えます。

ゆとりある老後にはいくら必要?

さて、退職後には自由な時間が生まれ、悠々自適な生活を送れると考えていたのに、退職金+年金だけだと思ったよりもやりたいことにお金が使えないなんてことも。

ゆとりある老後の生活に必要な1ヶ月の資金は37.8万円

厚生労働省のレポートによると、60歳代の約7割がゆとりある生活を送るには30万円~40万円以上必要であると答えており、平均では約38万円という回答になっています。「ゆとりある」という基準は個人や家庭によって異なりますが、夫婦合わせてだいたい38万円程月々に使えれば良いという結果です。

参考:>>厚生労働省 高齢者の生活実態(外部リンク)

 

しかし、実際に月々受け取れる年金を合わせた収入は理想の38万円からは程遠いという結果も出ています。

引退後の実収入

明治安田生命によると、夫65歳以上、妻60歳以上の無職世帯は1ヶ月の平均実収入が約21万円、内9割に当たる19万円程が公的年金で占めています。しかし、実支出はというと平均約26万円となり、月間での収支が約5.5万円のマイナスです。

参考:>>明治安田生命 2018 年度の公的年金額と 2017 年の高齢者世帯の収支(外部リンク)

長生きすればするほどお金がかかる…長生きリスク

みなさんご存知の通り日本はご長寿大国なので、60歳から生涯を終えるまでの期間が30年を超えることも珍しくありません。60歳男性の平均余命が24年、女性では29年です。単純計算ですか、平均の支出額で合計のマイナス額を試算してみると

 

  男性 女性
60歳の平均余命 24 29
月々のマイナス金額 5.5万円 5.5万円
合計 132万円 159.5万円

 

男性で合計132万円、女性だと約160万円程を切り崩して使う結果に。また、ゆとりある生活を送った場合の支出額と収入を比較すると、月々マイナス額は38万円ー21万円で17万円です。合計では男性で408万円、女性だと500万円近くも不足することがわかります。

 

  男性 女性
60歳の平均余命 24 29
月々のマイナス金額 17万円 17万円
合計 408万円 493万円

 

また、もっと長生きする場合や、医療費や施設費などで支出が増える可能性もありますので、マイナスとなる金額は膨れ上がることも十分に考えられます。長生きすることはとても良いことですが、お金の心配をしながら生活するのは少し気が重たいですよね。

 

年金だけではやはり賄いきれない可能性が高いので、退職金を運用してこれからの支出に対する備えをしておくべきであると言えます。

退職金2000万円の運用方法

退職金は全てを同じ金融資産にまとめて運用するのではなく、用途や必要となる時期によって分けることでリスクも減らせ、効率よく運用ができます。資金を性格別に分けた場合の割合は個人や家庭の事情によって様々ですが、カテゴリーは大きく分けて3つになると思います。

 

退職金2000万円の運用方法

1、すぐに使う可能性がある資金

すぐにつかう可能性のある資金は、必要な時にすぐに引き出せる必要があります。無理に運用をせずに、銀行の普通預金へ保管しておくのが良いでしょう。

2、今後比較的すぐに必要となることがわかっている資金

例えば3年後に家のリフォームを控えている等、確実にかつ短期的に必要となる資金は減らさない運用が必須となります。よってリターンは望めなくとも、リスクの低い銀行の定期預金や、個人向け国債で安全に運用することが最善と言えます。

3、しばらく置いておける資金

もう少しリスクを取ってリターンを狙いに行くことも必要です。以下で紹介するものは少なからずリスクを伴いますので、あくまでも余裕のある資金で運用しましょう。

 

  • 債券
  • 投資信託
  • ヘッジファンド

 

まずは債券からご説明致します。

個人向け国債以外の債券

少し期間に余裕があるなら、個人向け国債などの金利が低いものではなく、日本や海外の企業が発行する社債など、比較的金利の良いもので運用したほうが良いでしょう。

 

現在日本の個人向け国債利率が0.05%ですが、例えば2019年9月に募集のあるソフトバンクグループの社債の場合は利率1.20%~1.80%で発行を予定しています。もちろん発行体の大きさや信用度に違いはありますが、その企業が破綻しない限りは満期にお金が戻ってくることと金利の支払いは約束されますので、少し高い金利のもので運用することも検討してみましょう。

 

また、海外の企業が発行した外国債券は、日本の債券に比べて高金利です。新興国の通貨などはリスクが高く安全であるとは言い切れませんが、アメリカドルやオーストラリアドルなどであれば比較的安心して運用することが可能です。企業の発行する社債や外国で発行された債券は証券会社での取り扱いのみとなります。

投資信託

投資信託もリスクと手数料が高すぎないものであれば、運用をプロにお任せできるので、おすすめです。なかでもバランス型といった国内外の株や債券を組み合わせたものであれば分散投資が図れ、リスクも高くなりすぎずちょうどよいと言えます。

 

(eMAXIS Slim バランス 8資産均等型)

eMAXIS Slim バランス

引用:>>eMAXIS Slim バランス 8資産均等型(外部リンク)

 

上記の投資信託は国内外の株式や債券、リート(不動産資産)を12.5%ずつ組み合わせたものです。中身の金融資産の運用状況によっては国内株式の割合が多くなったり、外国株式の割合が少なくなったりバランスにばらつきが出てくることもありますが、このようなバランス型ファンドでは、このようにバランスが崩れると自動的には資産価値の増えているものを売って利益確定をし、反対に安くなっているものを買い増すリバランスという作業をしてくれます。

 

もっとリスクを抑えたい場合は債券の割合がさらに高いもの、逆にもう少しリスクを取れる場合は株式やリートの割合が高いもので運用すると良いでしょう。

ヘッジファンド

あまり馴染みのない運用法だとは思いますが、まとまった資金(1,000万円以上)があればぜひ検討して頂きたいです。仕組みとしては投資信託と同様に投資のプロが投資者に代わって、様々な投資先に分散投資を行ってくれるものとなりますが、いくつか違いがあります。

 

項目 投資信託 ヘッジファンド
運用最低額 約1万円~ 約数百万~1000万円
投資家の数 基本的に制限なし 50名未満
投資規制 あり 多くない
手数料形態 販売手数料や管理費など高額なものが多い 成功報酬型で損失なら手数料なし

 

それぞれファンドによって多少異なることもありますが、ヘッジファンドはマイナス局面でも積極的にリターンを狙いにいきます。投資家の人数が多くないので、一人ひとりが投資する額は高くなりますが、退職金のようなまとまった資金で一般的な投資信託のように運用の結果マイナスになったとしても、運用額に対して固定で手数料がとられるわけではないので運用する価値があります。

 

以下、本サイトには編集部おすすめのヘッジファンドをまとめたページもございますのでファンド選びの際には是非参考にしてみてください。

>>ヘッジファンドランキング~国内おすすめ3社を徹底解説

 

おすすめは以上ですが、多くの方が退職金の運用で失敗した商品もあるのでここでご紹介致します。

気をつけなければならない商品

一番多い失敗が、次の特別金利の定期預金です。

退職者特別プランと謳った条件付きの高金利(に見える)定期預金

年率6%の定期預金があると知ったら、誰でも飛びつきたくなりますよね?もちろんそんな美味しい話あるわけがなく、もちろんトリックがあります。だいたいこういった類の定期預金の金利は最初の3ヶ月だけで、以降は0.01%台のごく普通の金利に下がります。

 

また、6%の金利を出す代わりに別の投資信託などの抱合せ商品を購入することが条件となっていたり、よくよく考えたらメリットが無いなんて場合も。抱き合わせの投資信託は購入手数料に2%以上かかったり、リスクが高いものも多いので注意が必要です。

リスクや手数料の高すぎる投資信託

せっかく受け取った退職金を減らしてしまったら元も子もありません。テーマの偏ったリスクの高い投資信託は、場合によっては高いリターンを得られる可能性もありますが、自分のリスク許容度を超えるようなものは控えたほうがベターです。

 

また、手数料の高いものも最終的に手数料を超えるだけの運用リターンを得られない限りプラスとはならないので、運用には不利と言えます。最近はノーロード型投資信託(ノーロードファンド)と呼ばれる購入手数料がゼロの投資信託も沢山販売されているので、上手く活用しましょう。

資金の用途と使う時期によって運用商品を分ける

退職金2000万円を貰えたとしても、2000万円の切り崩しと年金だけで、今までと同じような生活スタイルを続けようとすると、やはり将来的に不足する可能性がありそうです。

 

長くなった平均余命とは反対に年金受給額と退職金は減少傾向にあり、退職金の運用は必須と言える段階まできていると言えます。運用をして退職金の寿命を伸ばすことが必要です。

 

比較的すぐに必要な資金は定期預金や国債での運用がおすすめですが、しばらく置いておける資金はもう少し金利の良い債券やリスクと手数料の低い投資信託、ヘッジファンド等で運用してみましょう。

 

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