「ヘッジファンドとは?」という疑問を5分で解消

ヘッジファンドとは

ヘッジファンドと聞くと、あなたはどのようなイメージをお持ちでしょうか?

 

もしかしたら「よくわからない海外の会社」とか、村上ファンドのように会社を乗っ取る危ない会社。そんな、想像をされるかもしれません。

 

このように一般の投資家からはなじみが薄いヘッジファンドですが、彼らの投資判断は世界経済と日本経済に小さくない影響を与えております。

 

その結果としてヘッジファンドは、「相場のやんちゃ者」、「金融のエリート」、「お金の亡者」、「資本主義の権化」等と世界中のメディアで報道されています。

 

そして近年になってヘッジファンドは、一般投資家にとっても少しずつ身近な存在になってきたと言われています。

 

ここではマネーブリッジ編集部が「ヘッジファンドとは何か?」といった基本的な内容や、高度な手法によって運用されるヘッジファンドがなぜ広範囲の投資家に受け入れられるようになったのかについて説明していきます。

 

究極の資産運用会社

実は、ヘッジファンドという言葉に厳密な定義はありません。

 

端的に言えば、投資家から資金を集め、代わりに彼等の資産を運用するプロフェッショナル集団であり、マーケットの動向に関わらず、いかなる場合もプラスのリターンを目指す資産運用会社と言えます。

 

一見するとヘッジファンドは投資信託と似ていますが、どこが違うのでしょう?ヘッジファンドの理解をより深めるため、皆様に馴染みの投資信託と比較してみます。

ヘッジファンドと投資信託の違いを比較

まず投資信託は多くの一般投資家から資金を集め、その資金で複数の投資商品に投資をし、投資信託の運営者は管理報酬をもらいます。一読するだけでは「ヘッジファンドは何が違うの?」と思うかも知れません。

 

しかし投資信託は、幅広く一般投資家へ募集ができる代わりに、金融当局による厳格な規制や制約を受けます。

 

ディスクロージャーという、いわゆる運用情報に関しても細部まで公開が求められており、運用手法も金融商品を購入して、値上がりしたら売却して利益を出すという単純な「ロング」のみで利益を狙います。

 

一方ヘッジファンドですが、まず投資家は、富裕層や資産家、年金や基金などの機関投資家に限定されます。

 

運用手法は手元にない金融商品を他のところから借りて売り、値下がりした段階で買い戻す「ショート」や金融商品を将来のとある地点で売買することををあらかじめ約束する「デリバティブ」など、多種多様。

 

さらにヘッジファンドは私募形式(証券会社など販売代行を介さず、ファンド自体で動いて投資家と直接契約する)をとりますので、投資信託と異なり運用手法や情報公開に関する規制を受けません。

 

最先端の運用手法を開発・実行するため、他のファンドに真似されないように運用手法や保有銘柄を秘密にするところが多いです。

 

そしてヘッジファンドの最も大きな特徴が、パフォーマンスに応じた報酬を受け取る点です。

 

投資信託であれば総資産に応じ管理報酬のみが運用者側の収益になりますが、ヘッジファンドはこれに代わり成果報酬を得ます。これがヘッジファンドが積極的に高いリターンを狙う動機づけになっているのです。

 

平均的な成果報酬は、ファンドが出したリターンの2割程度が相場です。

 

さて、ここまでをまとめますと、

 

投資信託 ヘッジファンド
・一般の投資家が対象。銀行や証券会社が取り扱うことができる
・投資家保護の観点から厳しい監視と制約がつく
・機関投資家や富裕層にむけた私募型
・情報公開の義務がない分戦略的かつアグレッシブな運用が可能
・運用に自信のある金融のプロフェッショナルが集結

 

となります。いかがでしょうか。

 

ちなみに上記の以外では、「運用設計」の点でもヘッジファンドは非常に特徴的。運用設計については、ヘッジファンドを語る上で最重要ですので後述します。

気になる運用手法

ヘッジファンドとは何かについては見てきましたので、次にヘッジファンドの運用手法とはどのようなものかについて見ていきます。

運用手法の代表例

ヘッジファンドの運用手法はロング・ショート以外にも多種多少。

 

ここでは、ヘッジファンドの代表的な戦略として、「アービトラージ」「イベントドリブン」「アクティビスト」を例にとって紹介します。

アービトラージ

多くのヘッジファンドはアービトラージ(両建ての運用手法)」を戦略的な運用スタンスの一つとして備えています。

 

アービトラージ(両建て)とは、売りと買いを同時に立ててマーケットに臨む投資スタンスを指します。

図は、A社とB社が3か月後に対等合併会社Z社になると発表した場合の裁定取引の事例です。まず、対等合併は、株式の交換比率が1:1であり、どちらが存続会社になるにせよ、両社の理論上の株価は同一でなければなりません。しかし、合併発表後のA社の株価が1,050円でB社の株価が1,070円といったように開きがあった場合、そこに裁定取引のチャンスが生まれてきます。
引用:>>松井証券 信用取引を使った裁定取引(アービトラージ)(外部リンク)

アービトラージ

上記の例であれば、割安なA社の株式を証券会社などから借り入れを行い購入(買建て)、同時に割高なB社株を証券会社などから借り売却する(売り建て)ことにより、合併し株価が同一になった時にA社の株式を売却、B社の株式を買い戻すことで差額の20円をリスクなしで得ることができる計算です。

 

アービトラージ

 

このほかにも、ヘッジファンドは社債や債券における証券会社間のプライスのズレなども利用し、「買い建玉(たてぎょく)」と「売り建玉(たてぎょく)」を組み合わせ収益の設計をします。

 

アービトラージ以外に目を向けると、「ETF」や「先物取引」のような金融派生商品(デリバティブ)等にも投資を行い、積極的に利益を求めます。

 

ちなみにマーケットの動きに関わらず生み出す絶対的なリターンのことを、専門用語で「アルファ」といいますが、ヘッジファンドは上げ相場でも下げ相場でも、ありとあらゆる手法を駆使して、アルファを狙います。

イベントドリブン

イベントドリブンは、企業の買収や合併といった企業やマーケットにとって重要な出来事がおきたタイミングを収益機会へとつなげる投資戦略です。

 

企業間の回収や買収なども含み、企業の構造に大きく変化を起こしリターンを得ようとします。

 

イベントドリブン

アクティビスト

アクティビスト戦略は物言う株主とも訳され、大量に議決権を保有する株主の立場から、経営陣へ株価上昇のための提案を行います。

 

特に、キャッシュリッチで長年にわたって内部留保をため込んでいながら株価が低位で放置されている企業がターゲットになります。

アクティビストファンド
引用:>>朝日新聞デジタル 標的、日本企業 アクティビストファンド、次々進出 割安株に投資、つり上げ売却(外部リンク)

ヘッジファンドの運用設計:投資信託との違い

次に、ヘッジファンドの運用設計についてみてきましょう。

ここでふたたび投資信託と比較します。この両者、根本的な違いは「運用設計」にあるのです。

投資信託の運用方針ー相対収益型

投資信託はTOPIXや日経平均など、商品によって運用の指標となる「ベンチマーク」を設定し、そのベンチマークより成績が上回るように運用していきます。

 

このような収益の出し方を「相対収益型」といいます。

 

例えば日経平均をベンチマークとして設定すれば、日経平均の動きより数%でも超えるように運用目標が設計されます。

 

一例を挙げて見てみましょう。

 

日経平均が18,000円から27,000円に上がったとします。この場合、日経平均は50%上昇していますが、日経平均と連動したファンドはこの50%よりも上を狙います。逆に18,000円から9,000円に下落した年の場合、日経平均の動きはマイナス50%ということになります。

 

投資信託はこのとき、日経平均をベンチマークにする以上、保有する銘柄が日経平均の上げ下げと連動しているため、運用成績も必然的にマイナスに転じます。

 

ただマイナス50%の成績より良いものを目標としているので、単純な話、マイナス49%でも運用の結果としては「悪くない」と判断しなければなりません。

 

投資信託値動き

 

このように投資信託の運用設計では、その時々のマーケット動向に連動した成績を出すしかできません。なぜでしょうか?

 

これは端的に言えば、金融当局からの規制により商品の設計自体が幅をもっていないことがあげられます。例えば、投資信託では預かり資金の全額をただちに投資しなければならず「マーケットの動向をウォッチしているので今は投資しない」というようなことはできません。

 

また投資信託では運用総額が1000億円を超えることも多く、この規模の資産を扱うとなると流動性の観点から参加者の多いマーケットに投資をせざるを得ず、日経平均などの指数に連動した無難な商品にしか投資できないという事情があります。

 

先述した通り、手法も安全重視でロングポジションオンリーです。ロングポジションオンリーとはどういうことでしょう?勘のいい人はピンときたかもしれません。

 

投資信託を買うということは、上昇相場に賭けることと同意なのです。つまり、市場相場が上がらないと利益を出すことが出来ないということですね。

ヘッジファンドの運用方針ー絶対収益型

一方でヘッジファンド場合はベンチマークを一切設定せず、マーケットの動向に関わらず利益を求めるようと運用設計が組まれています。

 

これを「絶対収益型」といいます。つまり、マーケット動向の如何に関わらず、運用目標を独自で定め、その目標を達成するためにあらゆる投資手段を利用します。

 

ヘッジファンド値動き

 

先ほどでたアービトラージは、マーケットが上昇しようが下降しようが物理的に利益を得る仕組みでしたね。

 

アクティビストファンドなどもまた、購入した銘柄の経営陣と直接交渉するなどして保有株の値上げを自らの働きかけで上げていこうとするものであり、こちらも市場の上げ下げといった外部要因とは独立した動きでリターンを得るよう設計されています。

 

さて、ここまでヘッジファンドの内容を投資信託と比較してきましたが、いかがでしたでしょうか?

 

さてここからは、ヘッジファンドについてさらに具体的に紹介していきます。

ヘッジファンドと契約する際の3つの注意点

ここまでヘッジファンドとはどういうものか、その運用手法など、概要について説明してきました。

 

雲がかっていたヘッジファンドの実態が少しは見えてきましたでしょうか?興味がわけば、投資してみたいと考えるのは人の常です。

 

しかし焦りは禁物。ヘッジファンドと契約については、まだまだ一般的でないために前提をして理解すべき点が複数あります。そこでここからは、ヘッジファンドと契約する前に知っておくべき3つのポイントについてまとめてみました。

①ヘッジファンド=情報が少ないのは当たり前

ヘッジファンドは私募ファンドですから情報公開の義務もなく、戦略的手法でアルファを狙っているので、情報の公開は極端に少ないです。

 

保有銘柄の情報を全公開すれば、それを見た人が真似して個人的に同じものを買わないとも限りません。このような事態を招かないためにも、ヘッジファンドは情報を外にあまり流していません。

 

ネット社会の現代では、様々な公共施設や機関において情報公開が推奨されていますが、ヘッジファンドは性質上そうではないのです。ですので、情報がないからといって怪しいという判断はせず、もし関心があれば、直接面談してファンドの担当者にヒヤリングをすることがおすすめです。

 

これらのサイトも含め、ネットの情報は偏っている可能性もあります。情報の最新性という点でも完ぺきではないことが多いので、ご自身で見聞きし判断することをおすすめします。

②私募ファンドが原則!誰かが勧めることはない

ヘッジファンドとの契約機会は以下の2点に限られます。

 

・証券会社の営業
・直接契約

 

証券会社の営業といっても野村証券や大和証券のような大手証券会社は、ヘッジファンドを扱うことは稀です。

 

ヘッジファンドのような専門的かつ凝った金融商品は、説明も難しく、かつ「レピュテーションリスク(企業の評判)」からみてもまず避けようと考えます。

 

ヘッジファンドといえば、村上ファンドのように尖ったファンドという印象が強く、大手証券会社は顧客が利益を得るよりも、何か問題が起きたときの売った責任を追及されたくないので扱いません。

 

そこまでしなくとも、投資信託を無知な顧客に売りつけていても十分利益になるので、ヘッジファンドのような「良くも悪くも癖のある商品」をことさら扱わないのでしょう。

 

三田証券や立花証券など、東京の地場で活躍する富裕層専門の証券会社は、ヘッジファンドなどユニークな商品を扱うこともあります。

 

このような理由からあなたが富裕層として専門の金融機関との付き合いがない場合、ヘッジファンドの商品をすすめてくる営業マンに出会う機会自体がありません。

直接契約とは?

一方、本来ヘッジファンドは私募型ファンドといって、証券会社などを通さない直接契約を基本としています。

 

一部の富裕層専門証券会社が自らの顧客にヘッジファンドを薦めることはあっても、こちらはレアケースであり、ほとんどヘッジファンドは自ら募集し契約をします。

 

とはいっても、ヘッジファンドが自ら営業するというよりは、外資系銀行出身者や三大監査法人の会計士といった金融分野におけるハイクラス層が、これまた自身の顧客である富裕層に紹介するという形で結果的に直接契約へつながることが殆どです。

 

しかしここ5年ほどは、準富裕層をメインターゲットとしたヘッジファンドが増えています。

 

こういった準富裕層をメイン顧客にしたファンドの多くは1,000万円程度から投資ができ、医師や上場企業のサラリーマン、公務員に人気です。

 

多くはありませんが、ネットを介してもウェブサイトを公開するヘッジファンドも増え、事実直接契約にて実際の運用を依頼し、その結果をまとめているブログもあります。

 

インターネット社会が進み、合わせて情報公開が進む中で、以前は富裕層だけにサービスをしていたヘッジファンドも、ある程度の資産がある人にとって比較的簡単に手が届くものになりつつあるのです。

 

では最後に、ヘッジファンドの担当者に直接会った際、どのようなことを中心にヒヤリングをすればよいのか、経験に基づいてまとめてみました。

③リスクとリターンの中身を確認する

ヘッジファンドに関しては、公的データはあまりありません。

 

またヘッジファンドは情報公開の義務がありませんから、ネットなどで簡単に入手できるものはほぼありません。

 

ヘッジファンドを適切に評価・選別するためには、実際に運用会社に訪問してヒヤリングを行う必要があります。

 

大切な資産ですから当然のことと言えば当然ですが、運用における強みはどこか、なぜリターンが出せるのか。さらに市場のゆがみをどのように利用するのか、過去のパフォーマンスにおいてはどのような収益機会を得意としたかなど、微細に質問をしてみることです。

 

また分析が誤っていた時には、投資家の抱えるリスクはどれくらいあるのかなども押さえておきたい点ですね。

 

それ以外でいえば、どのような経歴をもった人物がファンドマネージャーを務めているのか、運用者の数は何人かなどの管理体制にも触れましょう。

 

また投資をし終えた後、利益が出ても損失がでても、なぜそうなったのか?という点は随時確認をし、その説明にあいまいな点はないか継続してチェックしていきたいところです。

 

もし自身で上記の質問ができない、回答を聞いたところでよくわからない人は、投資を控えるか、専門家のご友人などを連れていくかして判断の足しをしましょう。

 

当たり前かもしれませんが、ヘッジファンド投資に充てる資金はリスクマネー。リスクマネーである以上、銀行預金や国債のような元本保証はないですし、ファンドが倒産すれば預け入れた資産が全て無くなるリスクもあります。

 

「預けた資金が無くなる」という話を聞くと急に心配になりますが、そこは運用手法の説明をしっかりとヒヤリングして理解することで回避できます。

 

現実的な話として、自分では運用する自身がない場合、リターンを望んで外部に委託するとしたらヘッジファンドくらいしかありませんから、まずは直接問い合わせをして聞いてみてはどうでしょうか。

 

当サイトには、国内のおすすめヘッジファンドを厳選してランキング形式で紹介している記事もありますので、ファンド選びの際には是非ご活用ください。

 

続いては、コラムです。

【コラム】海外の機関投資家の正体は日本人?

これまでヘッジファンドの特徴や運用方針、契約における注意についてまとめてきました。

 

最後に少し趣向をかえて、日本で報道されるファンド関連のニュースの裏事情について解説いたします。

各国の機関投資家の正体とは?

たまに新聞やネットのニュースで「各国の機関投資家が株を買い増ししている」だとか、「一斉に売り出した」というような話を耳にすると思います。

 

取引開始直後は前日までの大幅下落で自律反発狙いの買いが先行したが、外国為替市場での円高・ドル安進行が輸出関連株の業績の重荷になるとの警戒感から、国内機関投資家などの売りに押された。
引用:>>日本経済新聞 東証前引け 続落、円高進行を警戒 上海株安も重荷(外部リンク)

 

「各国の機関投資家」といわれると、本社を海外に置くファンドや莫大な資産を持つ外国人の投資家をイメージするかもしれませんが、必ずしもそういうわけではありません。 なぜなら各国の機関投資家の中にはかつて日本で活動していた運用会社も含まれるからです。

 

少し考えて頂きたいのですが、日本でたちあがったヘッジファンドが、その後運用成績よく順調に伸びた場合、日本国内で豊富な資金が集まります。そうなるとそのファンドは優秀なスタッフを集めることもでき、より一層利益を追い求めるようになります。

 

その結果、利益を拡大するための一環として法律面・税制面で優遇されている香港やシンガポールに移籍することが良く起こります。シンガポールはタックスヘブン地域と呼ばれており、日本国内よりもはるかに税制面で優遇されていますからね。

日系の運用会社が海外ファンドに?

その結果、もともとは日本人に率いられ、本社を日本においていたファンドであっても最終的に所在地がアジア諸国に変わってしまうのです。

 

こういったヘッジファンドも外国籍のファンドにカウントされ、日本人が運営をしていても、マーケットの中では「海外の機関投資家」と呼ばれます。

 

このように、海外の機関投資家の中身が実は元日本で活躍したヘッジファンド(または個人)であるケースも少なくありません。

 

しかし、紹介しているヘッジファンドもそうですが、日本に籍をおくヘッジファンドもいずれは海外に転籍することが常であり、結果外国人投資家になることが多いといえます。

 

仮に自分が投資しているファンドが海外へ転籍するとリリースがあった場合、それはイコール成績がよくさらなる利益をもとめた移籍と考えられます。

 

自らが投資するヘッジファンドの成長を見守るのも、投資家の醍醐味の一つと言えるでしょう。

 

本サイトには、実際のヘッジファンドへの投資経験から得た知識、考察をまとめた記事もあります。興味のある方はチェックしてみても良いですね。

>>日本・海外のヘッジファンドを利回りや保有資産から比較!その結果は...?

>>ヘッジファンド投資にかかる税金を徹底解説

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