話題のヘッジファンド投資とは何か?投資するメリット・デメリットまとめ

ヘッジファンドとは

ヘッジファンドとは?近年、高額資産の運用方法として認知度を高めている、ヘッジファンド

最近では投資信託と並び、退職金などのまとまった資産の運用先としてヘッジファンドを選ぶ方が増えているよう。

日本におけるヘッジファンドの知名度は年々上がっている。これは、紛れもない事実ですね。

とは言っても、ヘッジファンドの詳しい実態まで理解できている方はそう多くはないでしょう。

そこで今回、ヘッジファンド投資歴6年目を迎える筆者が

この記事で学べること

  • ヘッジファンドとは何か?その概要
  • ヘッジファンドとの契約方法から購入の際の注意点
  • 【最低出資額別】初心者向けおすすめ国内ヘッジファンド2選

を、わかりやすく初心者向けにまとめました。

この記事を読めば、ヘッジファンド投資とは何か?その疑問を解決することが出来るはず。

早速、ヘッジファンド投資の意味とその特徴について見ていきましょう。

ヘッジファンド投資の意味とその特徴

ヘッジファンドとはずばり、まとまった資産を預けるだけでその後の資産運用をプロに丸々おまかせできる、資産運用会社のようなものです。

投資者はヘッジファンドにまとまった運用資金を預け、ファンドの運用により得られた利益からファンド側の手数料を除いた金額が投資者に還元されます。

ヘッジファンドとは

ヘッジファンドの歴史は古く、1949年にオーストラリアの投資家A.W.ジョーンズ氏が創設した「1号ファンド」がその起源と言われています。

ジョーンズ氏の手法は、値下がりすると考えた銘柄を借りて高値で売り出し(空売り)、価格が下落した段階で安値で買い戻す。

また、これから価格が上昇すると考えた銘柄には、レバレッジを使用してファンドの収益率を最大限に引き出しました。

※レバレッジとは?(クリックで開きます)
担保として「証拠金」を預け、投資資金や金融商品の借り入れを行い、元本の何十倍にも相当する資金でトレードすること。

少額資金で高額の取引ができることから、レバレッジ(てこ)効果と呼ばれます。

これらは、今でこそヘッジファンドの一般的な手法となりましたが、当時は斬新な手法として注目を集めました。

ヘッジファンドはもともと、下落局面でも「資産の損失をヘッジ(避ける)する」と言う意味合いを持つ、安全性を重視した金融商品です。

ハゲタカファンド

上記のように安全な金融商品であるにも関わらず、ヘッジファンドと聞くと何故か危険なイメージを抱かれがち。その理由の一つに、ハゲタカファンドの存在があります。

ハゲタカファンドは経営状況が芳しくない、倒産間近な企業の株式や債券を安値で大量に購入。経営の実権を握った後、経営状況の回復・企業価値の向上を目指します。

※ハゲタカファンド事例1:ベインキャピタル社⇒すかいらーく(クリックで開きます)

2011年多額の負債をかかえていた日本の外食大手であるすかいらーくを、ベインキャピタル社が1600億円(推定)で買収。

すかいらーくは買収前の2006年に上場廃止となっていましたが、買収から3年後の2014年、東証1部に再上場を果たします。

再上場後、ベインキャピタルは持ち株を徐々に売却し、2017年11月に最後に残った20%を売却し、経営から退きました。

上場時のすかいらーくの時価総額はなんと2300億円程だったことを考えると、かなりのリターン率だったことがわかります。

※ハゲタカファンド事例2:NMLキャピタル社⇒アルゼンチン政府(クリックで開きます)

2001年、デフォルトに陥ったアルゼンチン。紙切れになる前にと大特価の値段で市場に流れたアルゼンチンの国債を米国ヘッジファンド、エリオット・マネジメントの傘下であるNMLキャピタルが大量に購入。

当時、アルゼンチンでは、債務負担を軽減させようという動きがありましたが、アルゼンチンの国債を大量保有するNMLキャピタルはこれに応じず裁判を起こします。

結局NMLが勝利し、政府には巨額の借金返済命令が言い渡されますが、その後15年に渡り抗争は続き、結果NMLキャピタルは約16億6000万ドル(リターンに直すと約12倍)を得て決着しました。

企業だけでなく政府までも相手取って、顧客の利益を追求するヘッジファンド。相場や指標に合わせた機械的な運用だけでなく、巨額な運用資金を活かしダイナミックなトレードが出来るのも魅力の一つですね。

ちなみに、混同されがちなPEファンドに関しても同様の仕組みとなりますが、PEファンドの場合は経営状況が厳しいファンドだけでなく、未上場の安定企業、将来性のあるベンチャー企業への投資も含みます。

ハゲタカ、PEファンドに関してはヘッジファンドを語る上で外せない言葉となりますので、是非覚えておきましょう。

ファンドの種類

先述したハゲタカやPEファンド、ヘッジファンドと言っても、投資戦略によりその種類は様々。ここで、一般的とされているヘッジファンドの投資戦略を以下表にまとめました。

株式ロング・ショート 株式を買い高値で売ったり、株式を借り安値で売り、高値で買い戻したりすることで利益を出す。
イベント・ドリブン 投資先の企業経営に関わる大きなイベント(企業合併・回収など)を収益機会とし、利益を出す。
マネージド・フューチャーズ 原油、金やプラチナ、穀物などのコモディティ(商品先物)に投資をすることで、利益を出す。
アービトラージ/レラティブバリュー 同一価値を持つ2つの金融商品の価格の一時的なゆがみ(金利差や価格差)を利用し、利益を出す。
グローバル・マクロ 世界経済、金融などの指標の動きを予想し、複数のヘッジファンド運用方法を利用して利益を出す。
マルチ・ストラテジー 複数あるヘッジファンド運用方法を1つのヘッジファンド内で組み合わせて運用、利益を出す。

ヘッジファンドの調査会社ユーカリヘッジ社の調査によると、アジア籍ヘッジファンドの49%がロング・ショート戦略を採用。続いて、マルチ・ストラテジー、グローバル・マクロと続きます。

ユーカリヘッジ社の調査

引用:ユーカリヘッジ社 Asian Hedge Funds Infographic January 2020(英語)

一般的に、株式の売買によって利益を出す、ロング・ショート戦略のファンドが多いようですね。日本国内に存在するヘッジファンドの多くも、ロング・ショート戦略での運用を行っています。

国内ロング・ショート戦略のヘッジファンド

・BM CAPITAL(ビーエム・キャピタル)
・Bayview(ベイビュー)

ヘッジファンドは戦略ごとに、得意な局面が大きく異なります。例を上げれば、ロング(買い)を基本とするイベントドリブンなどは株価の急落局面には弱く、反対に上昇局面では利益を出しやすい傾向にあります。

基本的にどんな局面でも利益を狙いにいけるヘッジファンドではありますが、ファンドの選定の際には相場の展望も十分考慮出来るとさらに良いと言えるでしょう。

ヘッジファンドと投資信託の違いを比較

ここからは、ヘッジファンド(資産運用会社)の実際の仕組みや運用構造について、同じく投資をプロにおまかせできる投資信託と比較しながら説明していきます。

今回、実際に比較していくのは以下の項目。

投資信託(期待利回り:3~5%程) ヘッジファンド(期待利回り:10%程)
運用手法・設計 日々上下する市場の平均値に常に勝てるように運用
(相対収益)
市場の平均値が下落しても、常に利益を出せるように運用
(絶対収益)
投資家の募集法 証券会社などを通して、不特定多数の投資者を募集
(公募)
証券会社などを通さず、直接50名未満の投資家を募集
(私募)
資産運用手数料 運用金額に対して固定で発生
(管理報酬)
運用で出た利益に対して発生
(成功報酬)

早速、上記1項目ずつ丁寧に見ていきますよ。

1、運用手法・設計

ヘッジファンドは投資信託と比べて、運用手法の自由度が高いという特徴があります。値上がりしたら売却するという単純な「ロング」のみで利益を狙う投資信託では、利益獲得の機会は基本的に上昇相場のみ。

その点ヘッジファンドは、ロングだけでなく「ショート(空売り)」や「デリバティブ」などバリエーション豊かで戦略的な運用を行い、市場の下落相場でも常に利益を狙いに行く、それがヘッジファンドです。

例を上げれば、過去にヘッジファンド運用者ジョン・ポールソン氏は市場の急落に見舞われたリーマンショックを逆手に取り、1兆円以上を稼ぎ出したと言います。

ヘッジファンドの平均リターンは10%以上と言われており、市場の下落局面でもまとまった利益を狙いにいける運用が出来るのは、運用にある程度の自由が認められているヘッジファンドならではと言えますね。

2、投資家の募集方法

投資信託は公募形式で、証券会社などを通し不特定多数の投資者を募ります。人気なものであれば、1本の投資信託に数十万人以上の顧客がつくこともあります。

反対に、ヘッジファンドは私募形式で証券会社などの販売代行を介さず、ファンド自体で動き、限られた50人未満の少数の投資家と直接契約する形式をとります。

そのため、数千円から投資できる投資信託に対し、ヘッジファンドの場合は、一人の投資者からまとまった資産を集める必要があるため、最低1000万円~と最低出資額は高額になります。

その代わり、少数の投資者と向き合うヘッジファンドは、運用手法や情報公開に関する強い規制を受けないため、下落相場でも柔軟な手法で利益を上げることが出来るのです。

まとまった資本は必要ですが、投資効率は大変に優れた金融商品と言えそうです。

3、手数料体系

投資信託では、預け資産に対し手数料として「管理報酬(ファンドの運用手数料)」が固定で発生します。一方、ヘッジファンドは運用益(利益)に対して「成果報酬」を得ます。

つまり、ヘッジファンドの手数料の体系では、リーマン危機などの株価の大暴落が起きている最中でも、利益を出さなければファンド側はまとまった報酬を受け取ることが出来ないのです。

マイナスが出ても、固定で手数料収入が見込める投資信託とは利益を出すことへの本気度が違います。ちなみに平均的な成果報酬は、運用で出した利益の1~2割程度が相場となります。

高額資産の運用であれば、ヘッジファンドで運用するのがコスト面でも効率的。手数料率だけ見ると投資信託より割高に見えますが、重要視すべきは手数料を支払った後どのくらいの利益があなたの手元に残るかです。

目先の手数料率だけにとらわれず、資産を効率よく増やしていける投資先を選択できると良いですね。

ファンド利用のメリット

続いては、ヘッジファンドを資産運用で利用するメリットに焦点を当てて詳しく見ていきます。

運用手法の多様さ以外にも、高額資産をヘッジファンドに投資するメリットはたくさんあります。

1、高リターン(利益)に期待可能

ヘッジファンドを利用するメリットの1つは、なんといってもその利益額の大きさ。多くのヘッジファンドでは、年利回り10%以上を目標に運用をしています。
BM CAPITAL
引用:BM CAPITAL

日本の株価平均値である日経平均株価の利益率が年4%程。都内の不動産でも利回り4%程と考えると、年10%と言うのは個人で狙うのは難しい利回りです。

既出の通り、ヘッジファンドは「絶対収益」を追求する運用を行うため、市場の良し悪しに関係なく、各ヘッジファンドごとに独自の手法で利益を狙いに行きます。

プロに投資を完全お任せで手間を掛けずに、個人では難しい年10%以上という高利回りを安定的に狙えるのはヘッジファンドならではと言えるでしょう。

2、資産を、相場の下落から守れる

高利回りが狙えるヘッジファンド、となると反対に大きなリスクを取るのではと心配になるかも知れません。しかし冒頭で紹介した通り、ヘッジファンドは安全第一な金融商品。

ヘッジファンドは下落相場でも利益を出せる特徴を持ち、下落局面では金融商品を借り安値で売り、高値で買い戻す「空売り」を積極的に行い積極的に利益獲得を目指します。

実際に、以下のような有名ファンドはコロナショック時にも、高利益をマーク。まとまった資産を下落相場で損失しにくい点はヘッジファンドを利用する大きなメリットです。

ファンド名 コロナショック時点の利益率(1月~3月)
クレスキャット・キャピタル 40.5%
ルネッサンス・テクノロジーズ 39%
オデイ・アセットマネジメント 6.5%

3、本物のプロに運用をお任せ可能

利益を出さないと手数料報酬を得られない「成功報酬」の手数料体系から見てわかるよう、ヘッジファンドマネージャーは結果が出なければ即クビという厳しい世界。

運用者の報酬は、手数料体系と同じく成果報酬制のところが多いよう。成績の善し悪しに関わらず、固定給の投資信託の運用者とは置かれている環境が異なりますね。

1000万円以上の資産となれば預ける方も本気。本気で運用せざるを得ない環境に置かれている運用者に資産運用を委託して出来るのは投資者としては安心です。

余談ですが、ヘッジファンドマネージャーの平均年収はなんと約4億円。大手であれば、数百億を超えます。その分大変な仕事ではありますが、夢のある世界です。

ヘッジファンドマネージャー ヘッジファンド名 年収
ジェームズ・シモンズ ルネサンス・テクノロジーズ 16億ドル(約1,700億円)
レイ・ダリオ ブリッジウォーター 12.6億ドル(約1,339億円)
ジョン・オーバー・デック ツーシグマ 7.7億ドル(約818億円)
デヴィッド・シーゲル ツーシグマ 7.7億ドル(約818億円)
マイケル・プラット ブルークレスト 5億ドル(約531億円)

ファンド利用のデメリット(リスク)

次は、反対に資産運用でヘッジファンドを利用するデメリット(リスク)も見ていきましょう。

1、投資のハードルはやや高め

投資信託が最低数千円~投資可能なのに対して、ヘッジファンドは最低1000万円~と最低投資金額には大きな違いがあります。

少数の投資家を相手にするヘッジファンド。ある程度の投資元本がないと大きなリターンは狙えませんから、致し方ないと言えますね。

このように、ある程度のまとまった投資額がないと利用したくても利用できない点はヘッジファンドのデメリットであると言えます。

そのため、まだそこまで投資資金がないという人は代わりに投資信託を利用するというのも賢明でしょう。しかし1000万円以上の投資資金がある方は、この点は気になりませんね。

2、日本国内にあまり存在しない

根本的な話になってしまいますが、そもそもヘッジファンドは投資信託と比較すると圧倒的にその母体数が少ないです。

下図は、ヘッジファンドの本社所在地の割合を示したグラフ。金融大国アメリカ(グラフ内濃青)籍のものが半数を占め、後は税率の低い香港やシンガポールに集中。

ヘッジファンドのロケーション

引用:ユーカリヘッジ社 Research(英語)

現在日本籍のヘッジファンドは数百本と言われており、商品数が5000本を軽く超える投資信託と比べると雲泥の差。

投資信託とは異なり選択肢が少なく、情報があまり出回っていないという点はデメリットと感じる方も多いでしょう。

本サイトでは、皆様の情報収集の助けになればと、国内外のヘッジファンドについて詳しく記事にまとめていますので、ファンドの情報集めの際には是非ご活用ください。

3、流動性が悪いファンドも

通常ヘッジファンドには「ロックアップ期間」といい、運用開始日から解約可能になるまで半年から1年ほどの期間が設定されています。

投資者一人あたりの出資額が大きいために、資金の出入りが続くと運用額が安定せず、戦略的な運用が難しくなる点から設定されているものです。

とは言っても、半年以上の長期に渡り1000万円以上の資産がロックされてしまうのはヘッジファンドのデメリットに感じる方も多いでしょう。

しかし、国内ファンドの中には、ロックアップ期間が3ヶ月という短期に設定してくれているファンドも存在。まずは、そういったロックアップ期間が短く設定されているファンドでで投資を試してみるのもおすすめです。

ヘッジファンド購入~解約、税金事情まで完全まとめ

ここまでの内容を踏まえ、ヘッジファンドに投資してみたいとお考えの方のために、日本国内でのヘッジファンド購入方法~解約方法までをまとめてみます。

購入方法

日本でのヘッジファンドの購入方法は主に、以下の3つとなります。

1、独立系ファンドを購入

一番おすすめなのが、独立系ファンドへ投資する方法。投資者募集から運用までを一貫して自社で行う為、無駄な中貫コストが発生せず効率的。

余計なコストが掛からない分、比較的高利回り、かつ最終的に手元にお金が残りやすいです。

独立系ファンドへの投資の場合、ファンドの公式サイトや既存の投資家を通してファンドとコンタクトを取り、面談の後、出資契約~入金を行う流れとなります。

大きなオフィスを持たない独立系ファンドでは、面談はカフェやホテルのラウンジで行われることが多いです。

独立系国内ファンド一例

・BM CAPITAL
・EXIA
・ストラテジックキャピタル

2、証券会社で購入

ヘッジファンド証券
引用:ヘッジファンド証券

証券会社の中には、ヘッジファンドの取り扱いがある証券会社も存在。一例を上げれば、ヘッジファンド証券。

ヘッジファンド証券とは、先述した通り金融商品の中でも特にヘッジファンドの販売に特化した証券会社。1口1000万円から、日本株ヘッジファンドの購入が可能です。

他にも、三田証券や立花証券など、特に富裕層向けの証券会社でヘッジファンド商品の取り扱いが目立ちます。

ヘッジファンドの取り扱いがある証券会社

・ヘッジファンド証券
・三田証券
・立花証券

【番外編】ヘッジファンド型投資信託/ETFへ投資

へッジファンドと同銘柄に投資する「GURU」と呼ばれるETF(上場投資信託)への投資も可能。

GURUとは、アメリカにある数千もの有名ヘッジファンドから厳選された最も優秀な60社が保有する株式銘柄を組み入れたETFを指します。

独立系ファンドと比べると、運用コストや利回り面での効率は気になりますが、とにかく手軽にヘッジファンドに近い投資を行い方には良きパートナーになりえます。

GURUは海外のETFとなるため、海外の証券を売買できる証券会社の口座を開設し、ETFを購入する形になります。

海外証券取り扱い証券会社

・SBI証券
・楽天証券
・マネックス証券

解約方法

独立系のヘッジファンドの解約時に、まず確認すべき事項は以下の2点。

  • 45日ルール
  • ロックアップ期間

ヘッジファンドには、解約の申請を4半期決算の45日前にしなくてはいけない決まり(45日ルール)が定められています。

また記述の通り、ヘッジファンドにおいては「ロックアップ」という現金化・解約ができない期間が定められている点も覚えておきましょう。

解約のタイミング

上記の解約ルールを踏まえ、ヘッジファンド解約のタイミングとしては以下2つが挙げられます。

  • 明らかな減益を出した時
  • 資産目標額を達成した時

市場の平均値と比べ、明らかな減益を数期に渡り重ね始めたら要注意。また、保有しているだけでは手元に現金は入りませんので、目標額を達成した段階で潔く解約するのもおすすめですよ。

解約方法自体はシンプルで、基本的にはファンドの担当者に解約希望を伝えるだけとなります。

しかし、ヘッジファンドは長期投資が基本。また、解約をし利益確定した段階で課税されるので、度重なる不用意な解約は投資効率の面からも避けたいところです。

知っておきたい税金のこと

税金の話が出てきたついでに、ここでヘッジファンドの税制についても説明しておきましょう。

ヘッジファンドは原則、分離課税です。給料所得などの他所得とは分けた上で、投資で発生した利益額だけに原則20.315%の税金が課されます。

参照:国税庁 源泉分離課税制度

ファンドにより異なりますが、源泉分離課税に該当するケースでは、ヘッジファンド側が利益の分配時に税金額を天引きするので確定申告は不要。

反対に、申告分離課税に該当するケースの場合、税金額の申告に関しては自身で確定申告を行う必要があります。

例外的に総合課税が課されることも

また、一部ヘッジファンドでは例外的に総合課税が課されることもあり、総合課税の場合は給与所得などを含めた総所得により税率が決まります。

気になる課税率は、以下の表の通りとなります。

課税対象所得 税率
195万円以下 5%
195万円~330万円 10%
330万円~695万円以下 20%
695万円~900万円以下 23%
900万円~1800万円以下 33%
1,800万円~4,000万円以下 40%
4,000万円 45%

参照:国税庁 所得税の税率

総合課税を採用しているヘッジファンドを利用する場合、税金額の計算から税額の申告までを自分で行う必要があります。

税金に関しては複雑で初心者には難しいのが実際のところ。不明点は、ファンドの担当者に随時質問できると良いですね。

失敗しないファンド選びの3つのポイント

購入方法がわかれば、後はヘッジファンドを契約するだけ。そこで、ファンド選びに失敗しない為の、選び方の3つのポイントをまとめます。

1、リスクとリターンの中身を確認

投資先を決める際に気になるのは「リターン」。ここでポイントなのが、出せた利回りだけでなく、その利回りを出せた理由や市場の状況も合わせて確認しておくこと。

ハイリスクな投資を行った結果の好成績の場合、同時に今後運用者の予想が外れば大きな損失を生む可能性を含んでいます。

また、どんな金融商品を買っても上がるような上昇相場で出せた利益と、金融危機といった下落相場で出せた利益では意味合いは異なります。

担当者との面談時には、ファンドの運用成績だけなく、どのような相場状況で、なぜそのような成績を残せたのか?事細かく質問したいですね。

2、本やブログで情報収集

ヘッジファンドの面談前には、ヘッジファンド関連の書籍を一読されることをおすすめします。

ヘッジファンドについて体系的に学べ、面談の内容の理解度をアップさせることができますよ。

入門ヘッジファンド―やさしくわかるヘッジファンドのすべて ロバート・A. イエーガー著

今日から始める!個人向けヘッジファンド入門 ファンド研究会 著

また、一昔前では考えられないことですが、ヘッジファンドの大衆化に伴い、近年ではヘッジファンド投資の状況を綴ったブログなども見られるようになりました。

ヘッジファンド投資の生きた情報を得られる貴重な情報収集の手段ですので、活用しないわけにはいきませんね。

ヘッジファンドブログ一例

・アキオの実録エクシア投資日記
・ヘッジファンド BM CAPITAL 完全ガイド

3、うまい話に騙されない

ヘッジファンドとの契約機会は、以下の2点に限られます。

  • 知り合いからの紹介で契約
  • ファンドに連絡して直接契約

基本的に富裕層内での口コミで回っている世界であり、ヘッジファンドの担当者が直接営業をかけてくることはありません。

逆に、得体の知れないヘッジファンドを進めてくる営業マンに出会ったら詐欺の可能性がありますので注意した方が良いでしょう。

また、面談時に質問をして、回答が丁寧でなかったり、対応に雑さが見られるようなファンドはどんなに直近の運用成績が良くても出資は控えたほうが良いですね。

ファンドの担当者、運用方法など、全ての面で心から信頼できるファンドに出資すべきです。

【最低投資額別】初心者向けおすすめヘッジファンド

ヘッジファンド投資の場合は、既述の通り最低投資額のハードルを超える必要があります。そこで、最後に最低投資額別に投資初心者向けおすすめヘッジファンドを2つ紹介してみます。

【1000万円~】BM CAPITAL

BM

1000万円もあれば、本格派のヘッジファンドに投資可能。国内老舗のヘッジファンドBM CAPITAL(ビーエム・キャピタル)は同社公式ホームページ上にも記載がある通り、投資初心者に焦点を当てたヘッジファンド。

四半期毎の運用報告書は、運用成績の報告だけに留まらず、個別企業の分析方法や投資に関する考え方など、投資に役立つ情報が噛み砕いて紹介されています。

勿論、初心者向けとは言ってもファンドの運用者は東大卒の金融エリート。実績としては過去3年で利回り10%以上、過去にマイナスを出した年ゼロ回とリスクを抑えながらも、安定したリターンを重ねています。

投資者に対するきめ細かいフォロー体制と、その安定した運用成績でBM CAPITALは特にヘッジファンド投資初心者の方に大変おすすめのファンドです。

BM CAPITALに関してもウェブ上で得られる情報には限りがありますので、気になることは、直接ファンドのお問い合わせページから問い合わせを行い、尋ねてみると良いでしょう。

【100万円~】EXIA

EXIA(エクシア)

1000万円クラスの出資は難しいけれど、ヘッジファンドに出資してみたいという方におすすめなのがEXIA(エクシア)ファンド。

ヘッジファンドには珍しく、1口100万円~という少額投資が可能で2015年の設立時から、一度もマイナスがなく毎月平均3%程という安定した成績を誇ります。

都内に看板広告を打つなど、積極的なマーケティングを行い、国内でも投資者数、知名度が高く、ブログやSNSでの情報収集が容易に出来る点も初心者には嬉しいポイント。

代表者の菊池氏はFX(外国為替証拠金取引)の有名トレーダーで、実際にはFX運用の他に、リスク分散の目的で他大手運用会社での委託運用も行われているよう。

同社への投資は既存の投資者からの紹介が基本となります。同ファンドに興味がある方は、ブログや投資家コミュニティーで知り合いとなり、つないでもらうと良いでしょう。

高額運用はプロを味方につけよう

さて、ここまでヘッジファンドとは何か?というところから、ヘッジファンド利用のメリット・デメリット、また初心者向けおすすめヘッジファンドまでまとめて説明してきました。

現実的な話として、現状自力で1000万円クラスのまとまった資産を運用する自信がない場合、リターンを望んで外部に委託するとしたら選択肢に入ってくるのはヘッジファンド(資産運用会社)くらいと言えます。

これからまとまった資産の運用を検討されている方は、まずは気になるヘッジファンド運用会社へ直接問い合わせをし、いろいろ聞いてみることから始めてはいかがでしょうか。

以下、日本国内のおすすめヘッジファンド会社をまとめた記事も是非合わせてご活用ください。

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