株式投資の基本バリュー株投資

バリューグロース

株式投資の基本とも言えるバリュー株投資。

投資家ベンジャミン・グレアムによって生み出されたバリュー株投資は、現在も投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏を始めとする多くの有名投資家に愛されています。

株式投資の手法には他にもさまざまな投資方法があるなかで、この手法を支持する人が多いのはなぜでしょうか。

ここでは、

この記事で学べること

・バリュー株投資のメリット・デメリット
・バリュー株投資の指標を使った探し方
・バリュー株とグロース株との違い

まで、まとめて紹介します。

これから、バリュー株投資での資産運用をお考えの方は必見のコンテンツです。

バリュー株投資とは

バリュー株投資とは、企業が持っている本来の価値と株価がマッチしていないもの(割安に放置されている銘柄)に対して、投資をして利益を狙う方法です。

株式市場では価値と評価が常に一致するわけではありません。

そのため、割安と呼ばれるバリュー株があったり、割高水準にある株が同じ市場に転がっています。バリュー株投資はこのような市場の特性の隙を突いた投資方法です。

かの有名なアメリカの投資家ウォーレンバフェットもバリュー株投資で莫大な資産を築いており、株式投資の最も基本的な手法と言えるでしょう。

バリュー株投資をするにあたって大切なことは、企業価値を正確に把握し割安であるかどうかの判断することです。では、バリュー株投資をするとどのようなメリットがあるでしょうか。

メリット

バリュー株投資におけるメリットは、主に以下の3つとなります。

初心者でも、比較的取り組みやすい点はバリュー株投資のメリットであると言えそうですね。

1.放置可能

割安で買っているので、日々の値動きをさほど心配しなくても大丈夫です。

デイトレーダーのように毎日画面の前で株価の値動きを追う必要がないので、心理的にも楽に運用することが出来ると言えます。

放置可能という点で、投資初心者の方には株式投資の中でも比較的ハードルの低い投資手法だと言えるでしょう。

2.大化けする可能性

割安になっているのは、市場で十分にその企業の評価をできていないからです。

アナリストがまだフォローできていないマイナーな銘柄では暴騰する可能性もあります。

一般投資家でも、しっかり割安銘柄を分析、見つけ出すことが出来れば、大きなリスクを取らずにまとまったリターンを狙える点はバリュー株投資の大きなメリットと言えるでしょう。

3.売るタイミングをつかみやすい

株式投資で「買い」よりも難しいと言われているのが「売り」注文です。

まだ上がるかもしれないという期待感から手放せないケースや、下がりすぎてしまって損切りのタイミングを失ってしまうパターンもありますね。

バリュー株投資では、本来あるべき価値になったタイミングで売却をすれば良いので、売却のタイミングを逃さなくて済みます。

さて、ここまでバリュー株投資のメリットを見てきました。

逆に、バリュー株投資で資産運用を行うデメリットはどのような点が上げられるでしょうか?

デメリット

バリュー株投資におけるデメリットは、主に以下の2つとなります。

バリュー株投資の基本は長期投資。結果が出るまで、ある程度の時間がかかる点はデメリットと感じる人も多いでしょう。

1.いつ上がるかわからない(上がらないこともある)

バリュー株を見つけたとしても、市場で評価がされなければ株価は上がりません。

市場が適正な評価を出すまでに時間を要す場合もありますし、評価がされる前にその企業に対する不安材料が出て値上がりどころか値下がりする可能性も考えられます。

本来であれば、別の運用で利益を上げられていたかもしれない期間、バリュー株にお金を投入したことによって、お金を動かすことが出来ず、利益を得る機会を逃すことも十分に有り得るでしょう。

2.投資判断が難しい

本当にその株は価値に対して割安であると判断してよい銘柄なのでしょうか。

なにか特別な理由があって安くなっている可能性もあります。株価を下げている材料が今後の企業業績に悪い影響を与える場合もありますから、注意が必要です。買ったタイミングによってはすぐに値上がりすることもありますが、だいたいの銘柄では長期間寝かせておくことになるでしょう。

バリュー株で利益を出すには、投資期間が長めになることも想定して置かなければなりません。

デメリットこそあるものの、バリュー株投資は高値づかみを避けるためにも有効な手段です。

日々の値動きで利益を狙うデイトレーダーの方々は少々物足りないと感じるかもしれませんが、長期的な株価成長を狙う方には最適な株式投資の方法であると言えます。

ここまで、バリュー株投資のメリット・デメリットについて見てきました。

上記の内容を踏まえてバリュー株投資で運用を行いたいとお考えの方のために、次の章ではバリュー株(割安株)の探し方について解説致します。

指数でみる探し方

一般的にバリュー株を探す際に使われる指標は、以下の2つ。

  • PER(株価収益率)
  • PBR(株価純資産倍率)

一見横文字が並び難しそうですが、大丈夫。一つずつ、わかりやすく説明させて頂きます。

PER(株価収益率)

現在の株価が、1株あたりの純利益の何倍に当たるかを表す指標です。

PERが同業他社の数値を下回る場合、株価が企業の収益性と比較して割安であると言えます。PERを計算するには以下の式を使用します。

株価÷1株あたりの利益(EPS)=PER

EPSは純利益÷発行済み株式数で算出可能です。

PERで銘柄選定する場合の注意点

PERは何倍以下であるから割安というような決まった数値はありません。

日本企業の場合PER15~20倍が一般的ですが、中には将来性や期待値が高く20倍を超えても割安であるといえる企業もあります。

しかし100倍を超えるような銘柄は、将来100年間分の利益も織り込まれた状態であると言えるので、避けたほうが良いでしょう。

また、低すぎるPER倍率の企業にも注意です。

一時的に低PERになっている場合は特に心配することはありません。

むしろラッキーなタイミングで掴めるケースにもなりえますが、低PERで放置し続けられているものは、なにか理由があるはずです。

PER5倍に満たない銘柄などは、すぐに手を出すのではなく一度財務状況や業績も確認してみましょう。

さらに、同業他社内で比較することも大切です。

例えば東証一部に上場している医薬品業界の平均PERは約26倍です。

解体銘柄のPER倍率が20倍を超えていても業界全体の平均が高めなので、業界内で比べると割安であると言えます。

PBR(株価純資産倍率)

現在の株価が1株あたりの純資産の何倍に当たるかを表す指標で、低ければ低いほど割安です。

企業の解散価値とも呼ばれています。PBRはを計算するには以下の式を使用します。

株価÷1株あたりの純資産(BPS)=PBR

BPSは純資産÷発行済株式数で算出可能です。

PBRは1倍を下回ると、その企業が解散し資産整理(現金化)をした場合に株価よりも多くのキャッシュが残ることを表します。

理論上ではPBR1倍以下にはなりえませんが、中には1倍を下回る銘柄もあります。業績が良いのにPBRが1倍以下である場合は割安であるという判断が下されます。

PBRで銘柄選定する際の注意点

PBRはPERはと違い、1未満であれば割安であるという基準が存在します。しかし、低すぎるPBRの銘柄にも注意が必要です。

PBRが低いということは、裏返すと市場で期待されていないことを意味します。

低PBRで買ったのにも関わらず、買う人が居ないから株価が上がっていかず、いつになっても利益にならないというケースも有りえるでしょう。

買う人が居なければ、いざ売りたい時に流動性の問題から売却ができないことにも繋がりますので、注意が必要です。

このようにPERやPBRはバリュー株選定の1つの目安にはなりますが、単独使用するのではなく、いろいろな角度から見て判断した方が良いと言えます。PER、PBR以外でのバリュー株の探し方もご紹介致します。

ネットネット株

ネットネット株とは、ウォーレン・バフェットの師匠であるベンジャミン・グレアムが提唱した銘柄選定の方法です。

企業の流動資産から負債の総額を引いた額の2/3(正味流動資産)が時価総額よりも多い銘柄がネットネット株です。

企業が持っている正味流動資産よりも株価のほうが低くなっているため、市場での評価が十分でなく、市場がその企業を適正に評価をすれば株価は上がっていくと考えられます。

PERやPBRで算出されたバリュー株と同じように、すでに割安で放置されていますから、これ以上の値下がりもあまり心配いりません。

計算式が少々複雑ですが、理にかなった方程式であると言えるでしょう。

グロース株との比較

バリュー株とよく比較対象にされるのがグロース株です。

グロース株とは

バリュー株投資は「現在の株価」が企業の価値に対して割安であるかどうかに着目しますが、グロース株投資は「企業の成長に期待」して投資をします。どちらも将来の値上がりに期待して投資をする点では代わりませんが、着目点が異なるのです。

グロース株投資では、すでに割安とは言えない水準に達している銘柄であっても、将来性に期待が持てるのであれば投資する方法です。投資家の期待が既に織り込まれた株価となっているために、PERは比較的大きな数値になりがちです。PERが30倍や40倍なんてもの珍しくありません。

予想通り企業価値が更に高まれば、株価は上がり利益を得ることが出来ます。

バリュー株VSグロース株

それぞれにメリットやデメリットがあるため一概にどちらが良いかというのは難しいです。

しかし、自分にあったほうを見つけることはそんなに難しくないでしょう。

比較項目 バリュー株 グロース株
値幅 比較的安定 激しく動く
企業規模 業績の安定した歴史のある企業が多い 設立から日が浅い中小企業が多い
相場上昇時の値動き 値上がり率はさほど高くない 2倍~10倍の値上がりをすることも
相場下落時の値動き 下げ幅は大きくない 暴落する可能性がある
配当金 高めに設定している企業が多い 無配か少ない企業が多い
利益を得るまでにかかる時間 長期化するケースが多い 数年以内に結果が出る可能性が高い

これまでの戦績を比較する為に、日本市場の全銘柄のバリュー株とグロース株を指数化した「ラッセル野村総合バリュー・インデックス」と「ラッセル野村総合グロース・インデックス」のリターンの差を以下表にまとめてみました。

- 1年 10年 20年
バリュー -7.9 +7.4 +3.9
グロース +21.4 +12.3 +2.7

近年は株式市場の値動きの激しさから、グロース株のパフォーマンスの良さが目立ちます。今、短期的に大きなリスクを取ってまとまった利益を狙いに行きたい方はグロース株で積極運用を行なうのが良さそうですね。

そして、やはり長期目線で見ると現状バリュー株のパフォーマンスがグロース株のパフォーマンスを超えています。

最低10年以上の長期に渡り、じわじわと大きな値幅を狙いに行きたい方はバリュー株で安全運用されると良いでしょう。

また、ポートフォリオの中に守備のバリュー株と、攻撃のグロース株を両方持ち合わせるのもおすすめです。

株式投資もご自身の性格に合わせて、やりやすい方法を選びましょう。

バリュー株関連のブログ&本(書籍)

最後に、バリュー株投資を実践している方々のブログと本(書籍)をご紹介致します。

バリュー株の捉え方が微妙に違っていたり、とても興味深い内容がたくさんありますので、ぜひ参考になさってください。

ブログ1.かぶ1000投資日記

バリュー株投資で有名なブロガーと言えばかぶ1000さんです。

かぶ1000さんは中学生から株式投資を始め資産を拡大、既に投資歴が30年超えの大ベテランで投資や運用の記事にもよく登場されています。

利益の総額は4億円を超えるそうで、バリュー株の投資家が夢見る存在でもあります。

かぶ1000投資日記

ブログ2.みきまるの優待バリュー株日誌

株の利益だけでなく、株主優待の取得も目的として運用されているみきまるさん。

どうせ長期間投資するのであれば、株主優待も魅力的だと嬉しいですよね。

株主優待も視野に入れた運用を目指す個人投資家にとっておきのブログであると言えます。

みきまるの優待バリュー株日誌

ブログ3.バリュー株投資 安全域を保つ

主にウォーレン・バフェットと、ベンジャミン・グレアムの投資方法を軸にバリュー株投資をされている小塚崇史さん。

日本株だけでなく、米国株でもバリュー株投資を実践されています。

バリュー株投資 安全域を保つ

本(書籍)1.賢明なる投資家

ウォーレン・バフェットの師匠と呼ばれるベンジャミン・グレアムの著書です。

ウォーレンバフェットも「投資をするならまずはこの本を読むことが先だ」と述べ、バリュー投資の本の最高傑作とも言われています。

相場は時に外的要因や人々の心理的な要因からおかしな方向へ動くこともありますが、時間をかけながら正しい価値に戻っていくため、そのギャップに投資することが大切であると述べられています。

市場や相場環境は、出版された頃と大きく異なりますが、ベンジャミン・グレアムの考える投資哲学を基礎として、現代風に合わせた改訂版も出版されています。

賢明なる投資家 - 割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法 ベンジャミン グレアム 著

本(書籍)2.真のバリュー投資徹底講義: 負けない投資のための企業価値分析を学ぶ

難易度を中級としたのは、途中で出てくる指標や数式を理解するのに、ある程度の会計や財務の知識が必要となるためです。

しかし、深く理解することができなくても、著者は難解な言葉を使用せずに説明してくれているので、銘柄選定の際に役立つでしょう。

他のバリュー株投資の本に書かれている購入タイミングについては特に重要視していない点がこの本の特徴と言えます。

長期投資で複利の効果を得る事や、銘柄の特徴を掴んでそれに集中投資するスタイルが挙げられています。

真のバリュー投資徹底講義: 負けない投資のための企業価値分析を学ぶ 柳下 裕紀  著

本(書籍)3.投資で一番大切な20の教え―賢い投資家になるための隠れた常識

著者はアメリカの投資家でもとシティバンクの役員だったハワード・マークスです。ウォーレン・バフェットが自身のファンドの株主総会で配布したことが知られ、人気に火を付けました。

ハワード・マークスもウォーレンバフェットやその師匠ベンジャミン・グレアムと同じく、割安な銘柄を見つけて投資をするバリュー投資を好んだ投資家です。

リスクは極力取らず、大損を避けることが重要であるという点をかなりのボリュームで説明しています。

株式投資は失敗がつきものと言われますが、なぜ多くの人が失敗してしまうのか、その原因について深く追求しており、心理的な側面もふまえて解説しています。

投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識 ハワード・マークス 著

まとめ

投資の基本、安く買って高く売ることを目指したバリュー株投資は、相場の値動きにとらわれず、中長期的に利益を出していきたい方にぴったりな投資方法であると言えます。

バリュー株を探す際には、PERやPBRなどの指標だけでなく、企業の将来性や財務状況などもしっかり確認して、投資する価値があるかしっかり見極めましょう。

個人で情報を得るのが難しい場合や初心者は失敗を避けるためにも、証券会社で開催されているセミナーに参加するのがおすすめです。

セミナーは無料のところが多く、頻繁に開催されているので、お近くの証券会社に問い合わせしてみてください。

投資の世界に絶対はありませんが、バリュー投資をしてリターンを得られる可能性を少しでも広げましょう!

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