元本保証がある退職金運用プランは果たして良いのか?

元本保証
退職金を運用する場合、「元本保証」を優先条件として考える方が多いかと思います。退職金は老後の大切な生活資金であることを考えれば、それは至極当然の発想といえますね。

 

こうした背景から、元本保証で金利が優遇されるという金融機関が提供する「退職金運用プラン」を始める方が多いのです。

 

しかしこの退職金運用プランには、「注意すべきポイント」や「落とし穴」があることを知っている方は少ないのではないでしょうか?

 

そこで今回は、マネーブリッジ編集部と元本保証がある「退職金運用プラン」の考え方や注意点について考えていきましょう。

退職金の運用で注意するべきポイント

退職金を運用する場合には、前提となるいくつかの原則があります。

 

それは、退職金を増やそうとする際に注意するべきポイントといってもよいものですが、はじめにその点をみていきましょう。

運用計画をしっかり立てる

退職金を運用する場合は、闇雲に始めるのではなく、はじめにその計画をしっかりと立てることが大切です。

 

計画は以下の項目を自分なりに定めておけば、行き当たりばったりの対応が減り、緊急時にも慌てなくてすみます。

 

目的 何のために増やすのか
増えたら何に使うのか
金額 退職金の中で運用に回す金額
期間 退職金を運用する期間
想定利回り 想定している年間の利回り
目標金額 目標金額・目標利益
方法 ・具体的な分野
(株式投資に〇%、ヘッジファンド〇%、定期預金〇%など具体的に)
・単利と複利運用の別
・緊急時の対応(〇%損失が出たら撤退・休止するなど)

リスクを抑えた運用が第一

退職金は老後の大切な生活資金です。

 

したがって、それを元に増やそうとする場合はリスクを最大限に抑える工夫をすべきです。

工夫其の一:ハイリスクは避ける

いくら大きなリターンが期待できても、ハイリスクの方法で行うのは避けた方がよいでしょう。

 

小さくても一定のリターンを積み重ね、着実に増やしていくという心構えが必要です。

工夫其の二:分散投資

退職金の運用に限らず、資産運用は「分散投資」で行うことが基本です。

 

例えば、株式投資で特定の1社に全資金を投入した場合に、その会社が倒産してしまったら投入資金はゼロになってしまいます。

 

そのような場合は、特定の企業だけに資金を集中するのではなく、何社にも分けた「分散投資」を行う方がはるかに安全です。

 

「分散投資」には以下の種類がありますので、組み合わせて使うと効果的です。

 

投資対象の分散 投資対象を特定のものに限定せず、複数に分ける
時間的分散 一度に全資金を投入せず、時期をずらせて少しずつ投入する
地理的分散 投資対象を日本だけに限定せず、海外にも分散する
通貨の分散 日本円だけで投資するのでなく、米ドルなど外国通貨にも分散する
投資分野の分散 例えば、株式投資1本に限定するのではなく、ヘッジファンド、FXなど、複数の分野に分散する

元本保証にこだわり過ぎると逆効果

退職金の運用で、元本保証を望む気持ちはよくわかりますが、そのことにこだわり過ぎると逆効果となってしまいます。上で述べた、「リスク抑制」と「元本保証」はまったく異なります。

 

「リスク抑制」は、論理的にリスクを減らす方法で投資を行うということですが、「元本保証」は投資行動そのものを否定しています。

 

この世の中に、定期預金を除き、元本保証がされてお金を増やす方法などどこにもありません。

 

「退職金を活用して増やす」という目標を決めたなら、「元本保証」という概念は頭の中から一掃する方がよい結果を生みます。

 

退職金を増やすには、一定のリスクがついてくることをしっかりと受け止め、そのリスクを工夫して減らしながら元手を増やしていく努力や気構えが必要なのです。

元本保証という言葉に潜む「落とし穴」

次に、元本保証で金利が優遇されるという金融機関提供の「退職金運用プラン」について、考えてみましょう。

退職金運用プランとは?

「退職金運用プラン」は、退職者に対し金融機関が退職金運用の特別なメニューを提供しているものです。

 

退職金を定期預金に預けると、通常適用される預金金利より高い金利で優遇されるという内容で「元本保証」のイメージを前面に打ち出しています。

 

そして、そのメニューは、

 

・定期預金と投資信託や外貨預金がセットになっている商品
・定期預金のみの商品

 

の2種類があります。

 

定期預金と投資信託や外貨預金がセットになっている商品」は、定期預金の金利が年率5~6%と、通常金利よりかなり高く設定されているものが多くみられます。

 

失敗したくない退職金運用での注意点

参照:>>みずほ銀行(外部リンク)

 

一方、「定期預金のみの商品」では、金利が年率0.1~1%と投資信託や外貨預金とセットになっているコースより落ちますが、通常金利よりは高くなっています。

退職金運用プランはここが危ない

プランでは、通常の金利より高い優遇金利を前面に出してPRしていますが、案内をよくみると、この優遇金利が適用される期間が非常に短い期間であることがわかります。

 

優遇金利の適用期間は、開始当初3ヶ月間が最も多く、長いものでも6ヶ月間、1年間となっており、その期間経過後は通常の低い金利(店頭金利)が適用されるのです。

 

退職金運用プラン
参照:>>みずほ銀行

 

例えば、先ほど例でご紹介したみずほ銀行の退職金プランでは、250万円以上の投資信託または外貨預金とセットで申し込むと定期預金金利が年率6.0%(当初3ヶ月適用)付けてくれることになっています。

 

ここで定期預金に250万円を預けると、税引き後の利息収入は250万円×6%×92日÷365日-税7680円=30128円となります。この計算式でわかるように、実質的な利率は6%×1/4=年率1.5%となるのです。

 

確かに、通常金利で1年間預けた場合よりも受け取る利息は多いですが、年間通して優遇金利が適用されると勘違いしていると期待外れになってしまいます。

同時に他の商品にも申し込まなければいけない

そして強く認識すべき点が、同時に投資信託または外貨預金を申し込まなければならないことです。

 

仮に、同時申し込みの投資信託で、販売手数料が2%、運用中の信託報酬が年率2%ほどかかるとすると、250万円×2%=5万円となり、販売手数料の5万円に加え、その後毎年信託報酬が5万円ずつかかります。

 

投資信託を購入した時点で利息を差し引いて2万円弱の赤字、その後毎年5万円ずつ払い続けることになってしまいます。

 

ちなみに、投資信託には元本保証はありません。

 

経済動向次第で元本が減る可能性があります。定期預金部分の元本保証ばかりに目が行き、抱き合わせの投資信託が投資商品ということを忘れてはいけません。

外貨預金に元本保証はない

なお、もう一方の抱き合わせである外貨預金は「預金」という言葉のイメージで元本保証のような錯覚をうけますが、元本保証はされません。

 

なぜなら、為替変動リスクにより円に戻した時点で元本を割り込む可能性があるからです。

  

「それなら、定期預金のみのプランにしておけば大丈夫では?」

 

と思われるかもしれませんが、金融機関は投資信託など金融商品の販売手数料を貴重な収入源とし、その販売に最も力を入れているのです。

 

そのため、定期預金の満期が来る度に投資信託の購入を強く勧められ、最終的には買ってしまう可能性が非常に高いといえます。

まとめ

これまで述べたように、退職金の運用で注意するべきポイントは、元本保証にこだわり過ぎないことです。

 

「退職金を活用して増やしていく」と自分で決めた時点で、元本保証の気持ちを払拭し、投資にかかるリスクをしっかりと認識すべきです。

 

その頭の切り替えこそが最も重要、といっても過言ではありません。

 

そして、投資にかかるリスクをいかに抑えて減らしていくかを考えるべきです。「分散投資」などがその代表といってもよいでしょう。

 

そして、そのリスク抑制を最も論理的・効果的に実践しており、かつ一定水準以上のリターンを期待できる投資法を間違いなく選択していくことが大切です。

 

ちなみに当サイトには、退職金を上手く運用するおすすめの運用方法わかりやすく紹介している記事もありますので、興味のある方は読んでみてはいかがでしょうか?

>>知らなきゃ損する退職金の最適な運用方法とは?(2019年版)

\誰かにも伝えたいと思ったらシェア/

Twitterでフォローしよう