村上ファンド出身社長の率いるストラテジックキャピタルの全貌とは

strategiccapital
今回ご紹介するのは、経済新聞やニュース等でも度々取り上げられる投資会社「ストラテジックキャピタル」。

金融業界内で存在感のあるファンドのため、同社の名前を耳にしたことのある方も多いでしょう。

しかしメディアからの注目を浴びる一方、ファンドの実態や運用方法など、会社の詳細に関してはご存じない方もいらっしゃるかと思います。

そこで本記事では本サイトの管理人本郷マサシが、

この記事で学べること

  • ストラテジックキャピタルの会社概要
  • ファンドの実態や評判
  • 出資~解約方法

など、ストラテジックキャピタルに関する情報を総まとめ!

ヘッジファンドへの出資を検討中の方は必見のコンテンツです。

ストラテジックキャピタルの会社概要

まずはストラテジックキャピタルがどのような会社なのか、基本情報からチェックしてみましょう。

会社基本情報

会社名 株式会社ストラテジックキャピタル
Strategic Capital, Inc.
オフィス所在地 東京都渋谷区東3-14-15 MOビル6F
設立年月日 2012年9月
代表取締役 丸木強
資本金等 5000万円
事業内容 投資運用業
投資助言業
第二種金融商品取引業

ストラテジックキャピタルは、今年で創立8年目を迎える日本のヘッジファンド

ヘッジファンドとは、投資家から預かった資金を代わりに運用して生じた利益を投資家に還元する、いわば投資のプロフェッショナルです。

そんなヘッジファンドの特徴は、投資信託より運用の自由度が高いこと。この投資手法の柔軟さを利用し、相場環境に関わらず、常にプラスの収益を目指す「絶対収益」で運用します。

ヘッジファンドは日本にも多数存在しますが、投資対象や運用手法はファンドによって様々。

では、これからご紹介するストラテジックキャピタルはどのような運用をしているのでしょうか?

投資手法

公式サイトでストラテジックキャピタルの運用方針は以下のように記載。

  • 原則として、日本で上場している企業に投資をします。
  • 私どもが評価する企業価値に比べて、何らかの理由により、市場で低く評価されている株に集中的に投資を行います。
  • 市場からの評価が低くなっている要因を改善するように、少数株主として積極的に企業に働きかけます。
  • 企業が持つ潜在的な価値を顕在化させます。

(引用:ストラテジックキャピタルHP)

ここからも読み取れるように、ストラテジックキャピタルの投資手法には特徴が2つあります。

1つ目の特徴は国内バリュー株(割安株)への投資。割安株とは、何らかの理由で本来の企業価値に対し株価が割安に放置されている銘柄のこと。

バリュー株投資では、割安価格で株を購入した後、市場で適切な評価を受けて株価が上がった際に売却して利益を出します。

株式によっては暴騰し、大きなリターンも期待できる投資方法です。

このバリュー株投資に加えて、アクティビストとして積極的に活動していることがストラテジックキャピタルの2つ目の特徴。

下で詳しくご説明しますが、簡単に言うとアクティビストとは、株式を一定量保有する企業に対し、企業価値の向上を目的に働きかけを行う株主のことを言います。

つまり、同社はバリュー株の株価が自然に上昇するのを待つのではなく、購入後に企業価値と株価が高まるよう「対策を提言する」段階まで行っているんです。

企業に対してアドバイスをするということは、その企業への理解度はもちろん関連業界の知見や投資企業との交渉スキル等、高度な専門スキルが必要不可欠。

では、このような高難易度の投資戦略を実現させているストラテジックキャピタルの資金運用者は一体誰なのでしょうか?

社長は丸木強氏

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(引用:ストラテジックキャピタルHP)

ファンドマネージャーの投資手腕によって、運用の成功・失敗が左右されるヘッジファンド。

そんなヘッジファンド、ストラテジックキャピタルを率いるファンドマネージャーは、代表取締役の丸木強氏です。

丸木氏の経歴は以下の通り。

  • 東京大学法学部卒業
  • 野村證券株式会社出身
  • 株式会社M&Aコンサルティング(後のMACアセットマネジメント)の創立メンバーの一人
  • アクティビストとして積極的に活動中

M&Aコンサルティング(後のMACアセットマネジメント)は、通称「村上ファンド」と呼ばれます。

過去にニュースでもよく取り上げられたため、皆さんも一度は名前を聞いたことがあるのではないでしょうか?

村上ファンドは、実は日本初となるアクティビストファンド

ストラテジックキャピタルはアクティビストファンドの第一人者が運用する会社でもあるんです。

このように、ストラテジックキャピタルについて語るうえで「アクティビスト」への理解は必要不可欠。

そこで続いては、アクティビストファンドとは何か更に詳しく見ていきましょう。

そもそもアクティビストファンドとは?

本来「活動家、実践主義者」という意味を持つ「アクティビスト(Activist)」。

では、投資業界におけるアクティビストとは一体どのようなものなのでしょうか。

アクティビストは「モノ言う株主」

アクティビストの定義は以下の通り。

株式を一定程度取得した上で、その保有株式を裏づけとして、投資先企業の経営陣に積極的に提言をおこない、企業価値の向上を目指す投資家のことをアクティビストという。

(引用:野村証券

アクティビストは「モノ言う株主」とも呼ばれ、具体的には資金効率化や各事業の買収・売却提案、経営陣刷新の提言等、投資先企業の経営陣へ対話や交渉などをおこないます。

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(引用:みずほ銀行

アメリカでは主流のアクティビストですが、日本ではその歴史は浅く、日本従来の企業体質とアクティビストの考えが対立したり、敵対的・強引に投資企業へアプローチしたりすることも。

2000年代には、立て続けに敵対的TOB(株式公開買い付け)が発生。メディアでも大々的に放送され、「モノ言う株主」に対する世論は否定的でした。

しかし、アクティビストの最大の目的は、企業価値と株価上昇による利益を企業から株主へ還元させて資金を循環させること。

アクティビストのアシストを前向きに検討することで企業は成長し、株主はより多くの利益を得られるというウィンウィンの関係構築も期待できます。

この双方良しの関係性を日本の企業と株主間にもたらそうとした日本初のアクティビストファンドが、丸木氏も創業者の一人である村上ファンドなんです。

国内元祖アクティビスト「村上ファンド」

2000年代に世間に広くその名を馳せた村上ファンド。

村上ファンド(むらかみファンド)とは、元通商産業省官僚の村上世彰、元野村證券次長の丸木強、元警察庁官僚の滝沢建也らが率いていた、投資、投資信託、企業の買収・合併に関わるコンサルティングを行っていたグループの通称である。

(引用:ウィキペディア「村上ファンド」

代表の村上氏は、

  • 企業経営者の金融リテラシーの低さ(経営知識の不足・経営者による企業の私物化等)
  • 多くの上場企業が必要以上に利益(資金)を溜めこんでおり、株主への利益還元が不十分

といった日本企業の「コーポレートガバナンス」の著しい低さとそれに伴う国際競争力不足を憂慮し、ファンド設立に至りました。

その後、2002年の東京スタイルの株式取得を皮切りにその他企業の株を次々と取得しますが、最終的に村上氏はインサイダー取引容疑で逮捕されファンドも解散。

当時同ファンドは非難の的になりましたが、アクティビストファンドのパイオニアとして、日本企業のコーポレートガバナンスの改善と経済循環促進のために動いた役割は大きいと言えるでしょう。

また、近年では敵対的な交渉ではなく、投資先企業に対して友好的に交渉・提言するケースも目立つようになり、アクティビストへの世間の認識にも変化が出てきました。

このように今後さらに注目を集めるであろうアクティビストファンド。

中でも日本初のアクティビストファンド出身の丸木氏がトップということもあり、ストラテジックキャピタルは多くの投資家から関心を集めています。

では、実際に同社はネームバリューに劣らない運用がされているのでしょうか?

具体的な投資先から実績・評判までまとめてチェック

出資にあたり、どのように資金が運用され、しっかり実績が出ているかは必ず押さえておきたいもの。

そこで続いては同社の具体的な投資先や運用成績、それらに対する投資家の評価を見ていきましょう。

投資先の選定基準

過去の丸木氏へのインタビュー記事等から、同社がどのような基準で投資先を選定しているのかをまとめると、

  • 資産を溜めこみ、有効活用できていない企業
  • 本業のキャッシュフローが安定している企業
  • コーポレートガバナンスが悪い企業

といった、改善の余地がある企業を基準としているようです。

これらの社内基準に沿って、まずは投資に適した銘柄をピックアップ。その後、改善案の考案とそれを受けて企業価値がどう向上するか議論を重ねて最終的な投資先を決定するとのこと。

また、投資先企業に対しては、

  • 株式購入後、投資先経営者に面談を通して様々な提案を行う
  • 面談だけでなく書面で提言することも
  • 可能な限り頻繁に意見を伝える

など、率直かつまめにコミュニケーションを取りながらアプローチしています。

このように、投資先の慎重な選定と投資後の企業への熱烈な働きかけを通して、企業価値と株主利益の最大化に努めています。

では、現在ストラテジックキャピタルは具体的にどの企業へ出資しているのでしょうか?

保有銘柄と株式保有率

ストラテジックキャピタルは公式サイトで、保有中の銘柄を公開しています。

現在保有する銘柄と株式保有率は以下の通り。

保有銘柄 保有率
極東貿易株式会社 17.18%
株式会社淺沼組 10.1%
株式会社有沢製作所 6.98%
東レ株式会社 不明
世紀東急工業株式会社 6.95%
京阪神ビルディング株式会社 2.85%
蝶理株式会社 不明

※大量保有報告書に基づき作成。最新データと異なる可能性があります。
(参考:株主プロ)

また、各企業に対する改善案の詳細も特設サイトにて公表中。

図書印刷株式会社や新日本空調株式会社、帝国電機製作所といった過去の銘柄も掲載。

図書印刷の親会社凸版印刷との当時のやり取り内容をはじめ、これまでの株主提案の情報等も確認可能です。

各企業がどのような問題点を抱えており、企業はどう対処すべきか数値やデータを用いて詳しく説明しています。

気になる人は一度見てみると良いでしょう。

株主提案を積極的に推進中

前述の出資企業に対して、ストラテジックキャピタルは企業改善のための提案を積極的に進めています。

ここでのポイントは、同社が働きかける対象は、実は出資中の企業だけではないということ。

同社が行う株主提案の情報を広く公開することで、他の機関投資家個人株主への巻き込みにも注力。

株主一人ひとりが企業を監視・問題点の是正を要求するという、株主本来の役割を果たすよう変化を促してもいるんです。

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(引用:ストラテジックキャピタルHP)

例えば株主総会が近づくと、上の図ように広告を出稿。

出資先企業の内、株主提案に至った京阪神ビルディング・蝶理・東レ・淺沼組・極東貿易・世紀東急工業に対する問題点とその対応の必要性を各株主へ訴求。

このように企業と株主双方に対して積極的に関与するのが同社の特徴とも言えるでしょう。

では、このように精力的活動を推進中のストラテジックキャピタルの運用実績はどうでしょうか?

利回り

投資手法や投資先へのアプローチに関する情報は多い一方、過去の運用実績の詳しい数値は未公開。

しかし、公式サイトによると、これまで純収益率の優れたヘッジファンドのアジアランキングに幾度となく選ばれるなど、好成績を納めているようです。

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※Japan-up Unit Trustは同社が運用するファンド
※図内、赤色囲みは筆者記入
(引用:ストラテジックキャピタル公式HP)

上のランキングを見ると、2014~2016の年間平均純収益率は12.87%
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※図内、赤色囲みは筆者記入
(引用:ストラテジックキャピタル公式HP)

また、昨年のランキングデータを見ると純収益率はなんと56.68%

これがストラテジックキャピタルへの出資者へどう還元されるか詳細は不明ですが、安定的に資金を運用していると推測されます。

では、世間では同社をどのように評価しているのでしょうか?

口コミ・評判を確認

続いてはストラテジックキャピタルに関する評判をチェックしてみましょう。

SNSではアクティビストとして積極的に活動する同社に対して、その影響力の大きさからか一挙一動を注視する投資家たちが多く見受けられました。

ストラテジックキャピタルは投資業界で常に注目を集めている存在と言えますね。

では、そんな同社へ出資をする場合はどのようにすればいいのでしょうか?

続いてはストラテジックキャピタルの出資方法から解約方法、投資者に求められる要件について確認してみましょう。

ストラテジックキャピタルの出資~解約方法・投資条件

出資~解約方法・手数料

ストラテジックキャピタルはCayman籍のUnit Trustというファンドの運用を受託していますが、国内販売はされておらず、販売は別会社が行っています。

そのため出資~解約までの一連の手続きは、販売契約を締結している「Teneo Partners株式会社(テネオ・パートナーズ株式会社)」で行わなければなりません

出資にかかる手数料に関しても同社への確認が必要。Teneo Partners株式会社の詳しいお問合せ情報は、ストラテジックキャピタルHPに記載されています。

投資条件

基本的に多くのファンドでは、最低投資額や解約や現金化ができないロックアップ期間が設定されています。

ストラテジックキャピタルの場合も公表はされていませんが、以下のように紹介しているブログもありました。

最低投資額 1000万円弱
※ドル建てのため為替状況に左右される
ロックアップ期間 1年間

どちらもヘッジファンドの平均的金額・期間ではありますが、投資信託と比べるとまとまった資金が必要です。

また、最近ではBMキャピタルなどのようにロックアップ期間を3か月と短く設定しているヘッジファンドも登場しています。

このような点から、ストラテジックキャピタルへの投資のハードルはやや高めとも言えるでしょう。

では、どんな人が同社への投資に向いているでしょうか?メリット・デメリットも併せてチェックしてみましょう。

ストラテジックキャピタルのメリット・デメリット

投資先の検討はメリットやリスクも含めて慎重に行いたいですよね。

そこで、最後はストラテジックキャピタルへの投資で想定されるメリットとデメリットをご紹介。

ご自身に適切な投資先かどうかの判断材料の一つとして参考にしてみてください。

メリット

アクティビストファンドであるストラテジックキャピタルには、効率的なバリュー株投資が期待できるというメリットがあります。

また同社は、現在の保有銘柄や投資先企業に対するアプローチ内容などをHP上で積極的に公開しているため、投資の現状を細かく把握できるというメリットもあります。

一般的なヘッジファンドはネットでの情報量が少ないため、同社のように動向が掴みやすいのは投資家にとって大きな安心材料と言えるでしょう。

デメリット

反対にデメリットはというと、アクティビストとして積極的に働きかけても、他の投資家の巻き込みや投資先企業側の賛成獲得がスムーズに進まないこともあります。

そのような場合、バリュー株での投資効果を得るまでにかなりの期間を要する場合もあります

また既出の通り、ストラテジックキャピタルでは販売や解約等の手続きを自社で行っておらず、契約を交わすには別会社を挟む必要があります。

出資・解約条件、手数料などの情報はネット上では収集が難しく詳細は不明ですが、別会社を挟むことで手数料は二重でかかってしまう可能性があるでしょう

高額な最低投資額やロックアップ期間が1年と長いことも投資初心者には少しハードルが高いかもしれませんね。

こんな人におすすめ

では、上述した特徴をもつストラテジックキャピタルへの投資には、どんな人が向いているでしょうか?

ずばり答えは、ある程度の投資知識・経験があり、アクティビストファンドの持つ日本経済への影響力や今後の将来性に共感できる人

アクティビストとして企業経営に関わる同社の公開情報を読み取るには、ある程度の専門知識が必要です。

同社への投資は、投資初心者の方よりも、同社の動向をしっかりと理解し判断の出来る投資玄人の方が適していると言えるでしょう。

まとめ

さて、ここまでストラテジックキャピタルについて、基本情報や投資方法、評判をご紹介しましたがいかがでしょうか?

近年は日本でもコーポレートガバナンス改革が進んでおり、アクティビストを後押しする風潮も徐々に形成されつつあります。

同社に興味がわいた方や投資を前向きに検討中の方は、以下サイトから問い合わせて直接お話を聞いてみると良いでしょう。

ストラテジックキャピタル問い合わせ先

また、同社への投資は少しハードルが高いと感じた方は、無理なく運用できるよう投資初心者向けファンドから始めてみるのもよいでしょう

当サイトの以下の記事では、初心者向けファンドランキングとして国内の優秀ファンドをご紹介しています。

まとまった資金をヘッジファンドで効率的に増やしたいとお考えの方は、是非参考にしてみてください。

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