今更聞けない!「ファンダメンタルズ分析」の基本を分かりやすく解説

筋の良いバリュー株銘柄を探り当てるファンダメンタルズ分析基本編

バリュー株とは、業績や配当などが悪くないのに投資家に人気がなく、株価が割安に放置されている銘柄のことです。なぜ人気がないのかというと、将来の成長が見込めないなど様々。

 

一方でバリュー株は、もともと割安なだけに値下がりリスクはその分低くなります。堅実な業績を維持している銘柄も多く、大幅な株価値上がりは期待薄な代わりに、安定した株価上昇と配当収入が期待できるのです。

 

ここではマネーブリッジ編集部が、バリュー株で利益を出すノウハウを紹介、バリュー銘柄を探り当てるファンダメンタルズ分析から大型割安株への投資について解説します!

ファンダメンタルズ分析とは

ファンダメンタルズ分析とは、企業業績からみて株価が割安か割高かを見極めるためのツールです。

 

上場企業の決算発表で、業績見通しが市場の予測を上回ると株価が大きく上昇、逆に期待外れだと大きく下落することがあります。このように、企業業績は株価に大きな影響を与えるのです。そもそも株価というものは、短期的には需給変動で上下しても、長い目で見れば「本質的価値(ファンダメンタル・バリュー)」に収束します。

 

そしてファンダメンタルバリューは将来を含めた企業業績にあり、ファンダメンタルズとは企業業績を示す様々な要因を意味します。

 

ちなみに主な要因は「成長性」「収益性」「安定性」の3つとなっており、ファンダメンタルズ分析ではこの3つの要因を分析すると同時に、指標を使って株価が割安か割高なのかを検証します。

ファンダメンタルズ分析に使う代表的な指標

以下が、株式投資のファンダメンタル分析に使う代表的な指標です。

 

目的 指標 内容 目安
業績状況の判定 安定性 自己資本
比率
自己資本÷総資産×100
大きいほど安定的
40%台(全産業平均)
収益性 ROE
(自己資本利益率)
利益÷自己資本
大きいほど経営が効率的
8.89%(日経平均)
成長性 CAGR
(年平均成長率)
大きいほど成長性が高い 6.2%(デロイト調べ
配当 配当性向 配当額÷当期純利益
大きいほど株主に還元している
25.76%
業績面での割安・割高判定 PER
(株価収益倍率)
株価÷当期利益
大きいほど割高
11.25(日経平均)
PBR
(株価純資産倍率)
株価÷純資産
(自己資本)
1.04(日経平均)
配当利回り 配当÷株価×100 2.29%(日経平均)

参考:日本経済新聞

安定性-赤字企業は要注意

結論から言えば、自己資本比率が低い企業でも、安定して利益を稼げているうちは問題ありません。最近は超低金利状況が続いていることもあり、多少債務を抱えていても金利負担もそれほど大きくなりません。

 

ちなみに超優良企業といわれるトヨタですら38.2%で、全産業平均を下回っています。

 

問題は、赤字企業です。例えば複写機大手リコーは、ペーパーレス化の波に乗り切れずに業績が低迷、18年3月期には1353億円の赤字を計上しました。8千人のリストラを断行し、10年続けたリコー全米女子オープンゴルフの冠スポンサーも降りましたが、業績悪化に歯止めはかかりそうにありません。

 

自己資本も毀損し、3年前には40%近くだった自己資本比率は35%を切りました。今後さらに低下を続け30%を切るようだと危険水域です。

収益性

収益性の中で、機関投資家などが最も重視するのがROEであり、効率経営のバロメーターです。米国に本拠を置くグローバル企業のROEは高くNYダウ平均でも17.48%前後、P&G・コカコーラ・ナイキなどは3割前後の水準です。

 

一方で日本企業の場合、最近上がってきたとはいえ日経平均が8%台にとどまります。一般的に2桁に達していればグローバル水準といわれています。

成長性

現在の業績が持続的なものなのか、一時的な現象なのかを判断する目安がCAGRです。CAGRがプラスならその企業のビジネスは成長トレンドにあり、マイナスなら衰退に向かっていることを意味します。

 

2桁に達しているようなら、文句なしに成長企業と呼べるでしょう。たとえば現在の業績が堅調だとして、それがこの先も続くのかの判断基準として使えます。

 

ただし、CAGRはあくまで過去のトレンドであり、将来を約束した指標ではありません。その点を注意して取り扱わなければなりません。

業績面での割安・割高判定

収益面から見て、割安かを判定する指標がPERであり、概ね15以下なら割安とされています。企業の解散価値から判定する指標がPBRであり、1以下は解散価値より株価が低く評価されていることを意味します。

 

一般的に不動産・総合商社・自動車・化学・メガバンクといった「オールド・エコノミー」は、成長が期待できないとみなされ、PBR・PERとも低く放置されがちです。

大切なのは未来の分析

ファンダメンタルズ分析に使う指標は、あくまで現在の業績や割安感を示しているに過ぎません。

 

例えば自動車メーカーA社の業績が絶好調でも、この先も維持し続けるかどうかはわかりません。ライバル企業にシェアを奪われるかもしれませんし、自動車市場そのものが衰退するかもしれません。

 

ファンダメンタルズ分析で大切なのは、将来を見据えた業績動向、つまりモメンタムです。例えば利益がここ数年20%前後伸びているのに、今年は10%だったとすると、モメンタムは鈍化傾向です。

 

ファンダメンタルズ分析では、過去から現在までの指標の推移をもとに、モメンタムがこの先も鈍化を続けやがては下り坂に向かうのか、その企業が属している業界や競合の動向・市場規模や成長力を見極めなければなりません。企業分析の材料としては、アナリストレポートがあります。証券会社に口座を開設すると、HP上で閲覧できます。

 

もう1つ分析で忘れていけないのは、「その会社が好きか嫌いか」といった直感。ファンダメンタルズ分析は情報を提供してくれますが、最後に判断するのはあなた自身なのです。だからこそ分析力を身につけるのには、直感力を磨くことが大切だと言えますね。

 

さて、ここまではバリュー株投資の探し方について解説してきました。続いてはより具体的に、バリュー銘柄、特にスタートアップに適した大型株への投資について説明していきます。

名門企業が多い大型株

東京証券取引所(以下、東証)では、時価発行総額と流動性を基準に、1部上場銘柄を「大型株」「中型株」「小型株」に区分しています(かつては発行済株式総数を基準にしていましたが平成17年に現在の基準へ改訂しました)。

 

そんな東証は規模別にさまざまな株価指数を公表していますが、その区分は以下の通りで、過去3年間売買金額でスクリーニングした後で、時価総額上位を選定しています。

 

各区分に属する銘柄は、毎年10月に入れ替えられます。

 

1部上場銘柄を大型株・中型株・小型株に区分

 

ちなみにTOPIX100構成銘柄には、トヨタ自動車、NTT、ソフトバンクグループ、三菱UFJフィナンシャルグループ、ソニーなど名門企業・超一流企業がずらりと並びます。

 

業種としても、メガバンク5社、輸送用機器8社、総合商社5社、鉄道3社、電気機器12社、化学8社など、どちらかといえば堅実・安定的な分野が中心。

 

そして大型株は一般的に、「時価総額が大きいため値動きが安定している」とされています。確かに業績・配当面では比較的浮き沈みが少ないこともあり、極端な値動きは見せないのは事実です。

 

ただし、相場全体が大きく動いたときは、話は別。例えば2018/10から12月にかけて大きく相場が下がりましたが、この時は大型株・中型株とも平均で28%下がっています。

 

大型株は機関投資家が売買の対象にしやすいのも、値動きに影響しているのかもしれませんね。

業種によってばらつきのあるバリュー株

TOPIX100を銘柄別に概観すると、PER(株価収益倍率)が1けた台の銘柄は37%、PBR(株価純資産倍率)が1を下回る銘柄が35%です。

 

東証1部全体で、それぞれ31%、52%ですから、大型株だからと言って取り立てて割安銘柄が多いわけではありません。一般的に「大型株はバリュー銘柄が多い」とされてきましたが、TOPIX100の構成銘柄も毎年入れ替わります。

 

最近でもニトリやリクルートといった成長企業が構成銘柄に加わるなど、必ずしも「安定型オールドエコノミー中心」とは言えなくなってきました。

業種によってバラツキがある割安株

一方で業種別にみると、建設・銀行・証券・保険・商社・輸送機器・輸送機器などに割安銘柄が極端に集中しています。逆に、食品・医薬品・サービス・小売りといった業種は、割安銘柄が0。

 

医薬品に関しては「エーザイ(40.38)」や「第一三共(41.38)」など高PERランキング上位銘柄も顔を出しています。つまり業種によって割安・割高が極端に偏在しているのです。

 

業種内も、例えば価格では資生堂や花王といった川下企業が高PERを維持する一方で、日東電工・旭化成・三菱ケミカルといった川上企業はPER1ケタ台に甘んじています。

業界分析と個別銘柄分析でバリュー株を探り当てる

ただし、PERやPBRが低いから即バリュー株なわけではありません。その業種自体が落ち目で将来性が見込めないなら、今は割安に見えてもその業種はバリュー銘柄とは言えないのです。

 

同時に、業種平均業績・株価と、個別銘柄の状況ではバラツキがみられることも少なくありません。例えば商社株は去年1年間で18%下げていますが、三菱商事は3%の下げにとどまっています。これは、総合商社NO.1としての安定性が弱気相場で強みを発揮したといえそうです。

まとめ

ここまで、バリュー銘柄を探り当てるファンダメンタルズ分析から大型割安株への投資について解説してきました。いかがでしたでしょうか?

 

上記で説明してきた通り、バリュー株を探り当てるには業界分析と個別銘柄毎の分析が欠かせません。多方面から時間をかけて根気よく分析をを続けることで、投資初心者の方でも上手に割安株を見つけることが出来るでしょう。

 

最後におまけとして以下、分析した銘柄をコード順に並べてみました。

 

分析した銘柄一覧(コード順に並べ替えてあります)

業種

銘柄コード

銘柄名

PER

PBR

エネルギー

1605

国際石油開発帝石

23.91

0.47

建設

1878

大東建託

12.30

3.45

建設

1925

大和ハウス工業

9.57

1.49

建設

1928

積水ハウス

8.73

0.93

食品

2502

アサヒグループホールディングス

13.73

1.63

食品

2503

キリンホールディングス

13.41

2.21

食品

2802

味の素

19.66

1.66

食品

2914

日本たばこ産業

12.52

1.75

小売

3382

セブン&アイ・ホールディングス

20.82

1.77

繊維

3402

東レ

12.41

1.05

化学

3407

旭化成

9.57

1.12

化学

4063

信越化学工業

12.19

1.44

化学

4188

三菱ケミカルホールディングス

5.49

0.83

化学

4452

花王

25.50

4.83

医薬品

4502

武田薬品工業

15.35

1.34

医薬品

4503

アステラス製薬

13.88

2.08

医薬品

4507

塩野義製薬

16.63

3.06

医薬品

4523

エーザイ

40.48

3.89

医薬品

4528

小野薬品工業

22.05

2.03

医薬品

4568

第一三共

41.38

1.82

医薬品

4578

大塚ホールディングス

24.43

1.40

サービス

4661

オリエンタルランド

45.41

4.76

サービス

4755

楽天

-

1.27

化学

4901

富士フイルムホールディングス

14.04

0.87

化学

4911

資生堂

38.85

5.54

エネルギー

5020

JXホールディングス

4.57

0.70

化学

5108

ブリヂストン

10.26

1.30

鉄鋼金属

5401

新日鐵住金

6.84

0.51

鉄鋼金属

5411

ジェイ エフ イー ホールディングス

5.67

0.49

鉄鋼金属

5713

住友金属鉱山

9.66

0.73

鉄鋼金属

5802

住友電気工業

8.91

0.72

サービス

6098

リクルートホールディングス

28.19

4.61

機械

6273

SMC

15.11

1.74

機械

6301

小松製作所

8.99

1.21

機械

6326

クボタ

13.01

1.40

機械

6367

ダイキン工業

18.27

2.34

電気機器

6501

日立製作所

6.91

0.80

電気機器

6503

三菱電気

10.51

1.08

電気機器

6594

日本電産

24.07

3.49

電気機器

6702

富士通

12.15

1.14

電気機器

6752

パナソニック

8.92

1.22

電気機器

6758

ソニー

9.32

1.95

電気機器

6861

キーエンス

-

4.23

輸送機器

6902

デンソー

12.31

1.01

電気機器

6954

ファナック

21.71

2.07

電気機器

6971

京セラ

20.53

0.79

電気機器

6981

村田製作所

13.70

1.85

化学

6988

日東電工

9.94

1.20

機械

7011

三菱重工業

16.30

0.91

輸送機器

7201

日産自動車

6.80

0.62

輸送機器

7202

いすゞ自動車

9.93

1.25

輸送機器

7203

トヨタ自動車

7.98

0.93

輸送機器

7261

マツダ

13.97

0.58

輸送機器

7267

本田技研工業

7.55

0.61

輸送機器

7269

スズキ

10.59

1.75

輸送機器

7270

富士重工業

10.30

1.10

精密機器

7741

HOYA

-

3.95

電気機器

7751

キヤノン

12.55

1.11

その他

7974

任天堂

20.41

2.49

商社

8001

伊藤忠商事

5.76

1.00

商社

8002

丸紅

5.75

0.66

商社

8031

三井物産

6.48

0.68

電気機器

8035

東京エレクトロン

8.23

2.31

商社

8053

住友商事

6.01

0.69

商社

8058

三菱商事

7.51

0.85

化学

8113

ユニ・チャーム

34.61

4.65

小売

8267

イオン

52.36

1.64

銀行業

8306

三菱UFJフィナンシャル・グループ

5.81

0.43

銀行業

8308

りそなホールディングス

6.13

0.57

銀行業

8309

三井住友トラスト・ホールディングス

8.74

0.58

銀行業

8316

三井住友フィナンシャルグループ

7.32

0.48

銀行業

8411

みずほフィナンシャルグループ

7.59

0.47

その他金融

8591

オリックス

6.54

0.73

証券

8601

大和証券グループ本社

8.48

0.70

証券

8604

野村ホールディングス

6.55

0.49

保険業

8630

SOMPOホールディングス

8.11

0.74

保険業

8725

MS&ADインシュアランスグループ

9.12

0.62

保険業

8750

第一生命ホールディングス

8.75

0.53

保険業

8766

東京海上ホールディングス

11.76

1.02

保険業

8795

T&Dホールディングス

9.75

0.65

不動産

8801

三井不動産

14.27

1.03

不動産

8802

三菱地所

19.16

1.35

不動産

8830

住友不動産

14.36

1.56

運輸鉄道

9020

東日本旅客鉄道

12.88

1.24

運輸鉄道

9021

西日本旅客鉄道

15.97

1.44

運輸鉄道

9022

東海旅客鉄道

11.12

1.39

運輸鉄道

9064

ヤマトホールディングス

31.89

2.12

運輸鉄道

9201

日本航空

12.05

1.18

運輸鉄道

9202

ANAホールディングス

12.72

1.21

情報通信

9432

日本電信電話

10.06

0.94

情報通信

9433

KDDI

10.06

0.94

情報通信

9437

NTTドコモ

13.22

1.50

エネルギー

9502

中部電力

16.27

0.68

エネルギー

9503

関西電力

11.03

1.01

エネルギー

9531

東京瓦斯

15.21

1.12

エネルギー

9532

大阪瓦斯

23.54

0.84

サービス

9735

セコム

24.54

2.09

小売

9843

ニトリホールディングス

23.48

3.30

小売

9983

ファーストリテイリング

32.96

6.30

情報通信

9984

ソフトバンクグループ

7.80

1.64

 

 

銘柄探しの際に是非、ご活用ください。

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