課税方法によってはお得に?投資信託の税金

投資信託の税金

少し難易度が高いように感じる金融商品の中で、初心者でも気軽に運用できる投資信託。ひとくちに投資信託と言っても種類が細かく分かれていたり、かかる税金が異なることは意外と見落とされがちです。ここではそれぞれにかかる税金や確定申告の要否について解説致します。

 

まずは簡単に投資信託の種類について解説致します。種類によって税金が異なりますので、ご自身が持っている投資信託がどれにあたるのか確認しておきましょう。

種類

投資信託と一言で言っても、募集の方法や組み入れの資産によってタイプが複数に分かれており、タイプによっては支払うべき税金も異なります。

公募投資信託と私募投資信託

銀行や証券会社で取扱いがあり、皆さんに馴染みの深い投資信託のほとんどが公募投資信託です。公募投資信託では不特定多数の投資家に対して販売し、デリバティブ取引や、為替の予約取引など一部組入れが禁止されているものもあります。

 

反対に私募投資信託は代表的なものでヘッジファンド等が挙げられます。公募投資信託では不特定多数の投資家に対して募集をかけられますが、私募投資信託では2名以上50名未満と出資者の数が限られる点が特徴です。

株式投資信託

その投資信託の約款(決まり)で株式の組入れが可能とされているものを株式投資信託と言います。実際に株式が組入れられていなかったとしても、約款上で株式の組入れを認めていれば株式投資信託となります。
組入れ資産が株式だけのものから、債券や金などが合わさったものまでテーマは多岐にわたります。

公社債投資信託

株式投資信託とは違い、約款で株式の組入れを禁止している投資信託が公社債投資信託です。中身は国債や社債、一部ではCP(企業が短期で資金調達する際に発行する無担保の約束手形のこと)などを中心に運用しています。MRFやMMFもこの公社債投資信託です。まずは、公募株式投資信託で利益がでた場合にかかる税金から見ていきましょう。

公募株式投資信託の税金

株式投資信託にかかる税金は以下の2つです。

  • 譲渡益にかかる税金・・・譲渡益×20.315%
  • 分配金にかかる税金・・・分配金×20.315%

まずは売却や投資信託の償還の際に利益が出た際にかかる税金です。

譲渡益にかかる税金

売却時の価額が取得したときにかかった金額を上回っていた場合にかかります。

 

売却時の価額ー購入金額+手数料等=譲渡益

 

この譲渡益に対して20.315%(内訳:所得税及び復興所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかります。

 

譲渡益

 

売却をしたわけではなく、投資信託の信託期間の満了による償還による譲渡益についても同じく20.315%(内訳:所得税及び復興所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかります。

分配金にかかる税金

投資信託の中には分配金が出るものもありますよね。この分配金に対しても税金がかかります。税金は同じく譲渡益と同じく20.315%で、原則源泉徴収されます。分配金を受け取る際に既に税金は引かれているということですね。

 

分配金は分配金でも、特別分配金ですと税金がかかりません。

特別分配金とは

タコ足分配金や元本払戻金とも呼ばれる特別分配金は、分配を出した後の投資信託の基準価額が個別元本を下回る場合の分配金のことを指します。通常の税金がかかる場合の分配金(普通分配金)と比較して確認してみましょう。

 

普通分配金
特別分配金

 

利益の一部から分配金を出す際は普通分配金と呼ばれます。利益に対するものなのでもちろん税金がかかります。特別分配金は、分配金を出すことによって投資元本が削られていることがわかります。投資信託の運用利益が出ていない場合、投資元本から一部引き出し、特別分配金として投資家に分配します。この場合は元本の一部払い戻しによるものですから税金がかかりません。

公募公社債投資信託の税金

公社債投資信託においても税金がかかります。2016年の1月に税制改正が行われ、この公社債投資信託における税金も株式投資信託と同様の扱いとなった点が大きな変更点です。少し紛らわしくなっているので、詳しく解説致します。

  • 公社債投資信託の譲渡益にかかる税金・・・譲渡益×20.315%
  • 公社債投資信託の分配金にかかる税金・・・普通分配金額×20.315%、特別分配金の場合は非課税

まずは売却や償還時に利益が出ていた際の譲渡益にかかる税金についてみていきましょう。

公社債投資信託の譲渡益にかかる税金

株式投資信託と同じく、利益に対して20.315%(内訳:所得税及び復興所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかります。以前は、譲渡益が出た場合にかかる税金は源泉徴収されていましたが、2016年1月より株式投資信託と同じように他の利益とは別計上とする申告分離課税へ変更となりました。

 

この変更により、特定口座(源泉徴収あり)内での売買に限り確定申告が不要となっています。

公社債投資信託の分配金にかかる税金

分配金についても同じく20.315%(内訳:所得税及び復興所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかります。株式投資信託の利益における税金計算では、他の所得も合算して税率を決める総合課税の方式も使用できますが、公社債投資信託では源泉徴収もしくは申告分離課税のうちどちらかを選択しなければなりません。これは同じ分配金でも、公社債投資信託の場合は所得の種類が利子所得となるためです。

 

最近、ETFでの運用をしている方も多いのではないでしょうか?上場投資信託は名前こそ投資信託となっていますが、税金の取り扱いは上場株式と同一となります。

ETFにおける税金

ETF(上場投資信託)も投資信託のひとつですが、これまで説明してきた投資信託とは違い、取引所に上場しており上場株式と同じように売買がされています。株式と同じということは税金も変わるのかといえばそうではありません。ETFで譲渡益や分配金が出た場合も同じく20.315%(内訳:所得税及び復興所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかります。

 

基本的には利益が出たら20.315%の税金がかかると覚えておけば問題ありません。

私募投資信託(ヘッジファンド等)

ヘッジファンドなどに代表される投資商品については税率が異なることがあります。ファンドごとに採用している課税方式が異なる場合もあるので確認が必要です。株式の組入れがされているヘッジファンドがほとんどですので、ここでは私募株式投資信託についてご説明致します。

  • 私募株式投資信託の譲渡益にかかる税金・・・譲渡益×20.315%
  • 私募株式投資信託の分配金にかかる税金・・・分配金×20.42%
  • 私募株式投資信が解約や償還となった場合の税金・・・利益×20.42%

まずは譲渡益に対する税金からご説明差し上げます。

私募株式投資信託の譲渡益にかかる税金

譲渡益が出た場合には、申告分離課税の対象となり利益に対して20.315%の税金がかかります。これは公募の投資信託と同じですね。

私募株式投資信託の分配金にかかる税金

分配金には住民税がかからず、所得税のみ20.42%の税金が差し引かれます。公募の株式投資信託と税率が異なる理由は、私募投資信託の場合所得のカテゴリーが一般株式となるからです。

 

分配金の種類 所得種類 税率
公募株式投資信託の分配金 配当所得(上場株式等) 20.315%
私募株式投資信託の分配金 配当所得(一般株式等) 20.42%

私募株式投資信が解約や償還となった場合の税金

解約や償還の際に利益が出た場合は分配金と同じく20.42%の税金が差し引かれます。私募株式投資信託では解約もしくは償還における利益を配当所得としてみなします。所得区分が同じ配当所得であっても、上場株式等のカテゴリーになるか一般株式等のカテゴリーに振り分けられるかによって税率が異なり、更にこれらの間での損益通算や損失の繰越控除は受けられません。

 

ヘッジファンドなどの私募投資信託は会社の形態によっても採用される税率が異なりますので、契約を考えている場合は確認した方が良いと言えます。では、それぞれの利益にかかる税金についておわかり頂けたところで、ご自身の取引における確定申告の要否について確認していきましょう。

確定申告がいらないケース

確定申告が不要となる売買にはいくつか条件があります。

 

確定申告が不要となるケース

  1. 源泉徴収ありの特定口座で取引
  2. NISA口座で売買

 

まずは煩わしい手続きが必要ない特定口座(源泉徴収あり)での取引について解説致します。

源泉徴収ありの特定口座

株式投資信託、公社債投資信託に限らず特定口座内での売買であれば、証券会社が代わりに税金の計算~納税まで行います。年間を通して払いすぎた税金があった場合は、証券会社を通して過払い分が戻ってきます。一番手間のかからない取引なのでおすすめです。

NISA口座で売買

売却時に利益が出ていた場合でも普通分配金を受け取った場合でも一切税金がかからないNISA口座。もちろん確定申告の必要はありません。NISA口座内で購入した株式やETFの分配金を非課税にする場合、株式数比例配分方式(証券会社を通して配当金を受け取る方式)の選択が必要ですが、株式投資信託における分配金についてはどのような受け取り方であっても非課税となります。

 

NISA口座を使った場合の注意点ですが、NISA口座内での取引における売買損失はないものとされるため、もし損失を出してしまった場合であっても損益通算や損失の繰越はできません。以上の2つが確定申告のいらないケースでした。では、確定申告が必須となる場合(決められた税金を収めないと脱税になります)についても確認してみましょう。

確定申告が必要なケース

毎年2月中旬から3月15日までの約1ヶ月間(期日に土日等が含まれる場合多少前後します)、確定申告の時期となります。確定申告直前になるとバタバタと税金まわりの処理をする人が多くなりますね。確定申告をして税金を納めることが必須となるケースは、

 

確定申告が必要なケース

  1. 源泉徴収なしの特定口座
  2. 一般口座での取引

 

主にこの2つです。まずは税金の計算までは証券会社で、実際の納税はご自身で行う必要のある特定口座(源泉徴収なし)での取引について説明致します。

1、源泉徴収なしの特定口座

年間の取引報告書は証券会社で作成しますが、納税についてはご自身で行う必要があります。とは言え、確定申告で一番厄介とされる取引報告書の作成は証券会社で行って送れるため、そこまで難しいことはありません。心配ご無用です。お持ちの投資信託だけでなく、株式や債券等他の商品も合わせて計算された報告書が発行されます。

2、一般口座での取引

一般口座で売買を行った投資信託については、年間取引報告書の作成から税金の計算、確定申告まで全てご自身で行う必要があります。年間取引報告書を作成する手間があるために、特定口座での取引に比べて煩わしい手続きが多くなります。

 

脱税などの問題から絶対にしなければならない上記のケースとは違い、確定申告は必須ではありませんが、申告することで税金が還付され有利になる場合もあります。

確定申告をした方がいいケース

払いすぎた税金は無条件に返ってくるわけではなく、手挙げ制(申告)で返してもらうことができます。

 

確定申告をしたほうが良いケース

  1. 複数の特定口座で取引をした場合
  2. 譲渡損失の繰越控除を受ける場合
  3. 総合課税で配当控除を受けたい場合(一定の条件を満たす株式投資信託に限る)

 

まずは、取引している証券会社が複数あり、1つ以上の特定口座で損失が出ていた場合について見ていきましょう。

1、複数の特定口座で取引をした場合

複数の証券会社で取引があったとしても、全ての特定口座においてプラスで終わっていた場合は特に気にしなくても大丈夫ですが、損失額の方が多い口座が1つ以上ある場合、確定申告をすることで払いすぎた税金が戻ってきます。

 

意外と見逃してそのままになっている人が多いですが、それぞれの証券会社が発行した年間取引報告書を使って簡単に確定申告が可能なので税金の過払い分は受け取りましょう。

2、譲渡損失の繰越控除を受ける場合

損失額が大きく、相殺が出来なかった分を最大で3年間繰り越せる税制です。わかりやすく図でご説明致します。

 

繰越控除

 

上記の図では、ある年に損失を100万円計上しています。次の年(損失繰越1年目)では利益が10万円出たために前年の損失100万円と相殺しました。前年の損失よりも利益額のほうが小さいのでまだ非課税となっています。損失の繰越は、3年にわたって可能となっており、4年目以降からは損失部分がまだ残っていたとしても繰越はできません。

 

損失の繰越控除を受けたい場合は確定申告が必須となっており、手続きをしなかった場合は税金が返ってきませんので注意が必要です。

3、総合課税で配当控除を受ける場合(一定の条件を満たす株式投資信託に限る)

株式投資信託の分配金について総合課税で確定申告をすると、配当控除の適用が受けられます。総合課税で確定申告をすると、その分配金以外の他の所得についても計算をしなければならず、所得金額が多い人だと逆に税金が高くなる恐れがあります。(累進課税)

 

また、この配当控除を受けるには国内の株式投資信託である必要があり、外国籍の株式投資信託などでは適用されません。ご自身の他の所得なども合わせて、総合課税で確定申告をするのか、または申告課税で他の所得とは分離して税金計算をするのか決定する必要があります。

まとめ

投資信託に限らず、利益が出た場合に税金は必ずかかると言って良いでしょう。値上がり益や分配金の高さばかり注目されて、いざ利益が出た時に支払う税金が高くて驚いた方もいたのではないでしょうか?年間で利用できる額に制限こそありますが、NISA口座等を活用して税金対策をしてみてはいかがでしょうか?

 

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