個人事業主やサラリーマンは株式投資で青色申告できる?

株式投資で青色申告

確定申告の時期になると話題になる青色申告と白色申告。節税効果が高いので、株式投資でも青色申告が出来れば良いですよね。ここでは個人事業主やサラリーマンが株式投資で青色申告する際の条件について解説していきます株式投資で青色申告をする際には様々な条件をクリアしなければならないので、あまり広き門とは言えません。

しかし、条件を満たしていて、申告もしっかり行えば無条件で65万円の控除を受けることができます。まずは青色申告の制度についてご説明致します。

編集部員
さくら
なかなかハードルが高い青色申告ですが、株式投資を始めるのであれば知識として知っておいても損はないでしょう。

この記事の要点

・青色申告は白色申告と比較して、税制面で有利な特典を受けることができる。
・青色申告を行うためには、株式投資によって生活をしているという証明が必要。
・事業レベルで株式投資に取り組まれている方は検討の価値あり。

青色申告とは

通常個人で事業を行っている人は、所得税の確定申告が必要となります。サラリーマン等の会社から給与をもらっている人は会社で完結できますが、事業主は自分で記録(帳簿)をつけて、税金額を算出し、納税までしなければなりません。これが俗に言う確定申告のことですね。

確定申告には大きく分けて青色申告と白色申告の2つがあります。青色申告は白色申告と比較して、税制面で有利な特典を受けることができるので、青色申告を選択して確定申告する人が多いです。

ただし、この青色申告で確定申告をし特典を受けるには条件があります。株式投資で出た利益について、青色申告でお得に納税できるかどうか解説していきます。

条件

株式投資による青色申告者として認められるためには、クリアしなければならない条件があります。

  • 株式投資が事業所得として認められること
  • 生計を立てているメインの収入が株式投資

2つの条件を見ていただくと分かる通り、株式投資によって生活をしているんですという証明が必要というわけですね。「サラリーマンだけど株式投資で青色申告しようと思っていたのに」「すでに青色申告をしている本業が別にあるから株式投資にかかる費用も経費に計上しようと思っていたのに」という方は当てはまりませんのでご注意ください。

株式投資が事業所得として認められること

所得は全部で10種類にのぼりますが、青色申告に適用されるのはそのうちたったの3つです。

  • 事業所得
  • 不動産所得
  • 山林所得

株式投資家が青色申告をしようとした時、その株式投資が事業所得にあたるかどうかが鍵になります。その株式投資から得られる収入が継続的であるか、事業的な規模であるかを考慮する必要があります。

事業所得とはそもそも農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業等の事業から生ずる所得のことを指します。オークション等で得た一時的な利益等継続性のない収入や、その所得によって生計を立てているということを税務署が認めなければ、別の所得扱いとなり、青色申告による特典は受けられません。よって、株式投資で得た利益があったとしても、継続性がなかったり、株式投資が事業的な規模で無い限りは認められないということですね。

普段はサラリーマンで、たまに株式投資を行う程度であった場合、この条件をクリアすることができません。その他の不動産所得(賃貸マンションやアパート、駐車場等の賃貸による所得)や山林所得(山林伐採などの譲渡による所得)などは、株式投資とは関係ない所得なので割愛致します。

生計を立てているメインの収入が株式投資

株式投資そのものによって生計を立てている場合のみ、株式投資での青色申告が可能です。例えば本業が別にあり、普段から青色申告をしていた方が株式投資を始め、株式投資にかかった買付費用等を経費として計上することはできません。

あくまでも自分は株式投資で食べているんだということを証明する必要があります。なので、専業トレーダー等をのぞき、株式投資で青色申告することはかなり狭き門であると言えるでしょう。

青色申告者になるためには

さて、事業所得として認められるぐらいの継続性や規模で株式投資を行っている場合は次のステップに進みましょう。

青色申告の承認申請

青色申告をするには、青色申告の承認申請手続が必要です。確定申告より前に承認申請を行わなければならないので新たに申請する方は気をつけましょう。ちなみに新しく事業者として登録をするためには、開業から2ヶ月以内に申請する必要があります。

帳簿の作成

青色申告が税制面で優遇されているのは、しっかりと帳簿をつけて正しく納税している人に対して特典を認めようということなので、帳簿を細かく作成することが大切です。
昔は白色申告だと面倒な手続きを踏まなくてよかったのですが、現在では青色申告と白色申告の差はほとんどなくなってきていると言えます。株式投資が事業所得として認められるのではれば、青色申告を選択するほかないでしょう。

税金が安くなるなら、株式投資におけるトータルリターンも高まりますよね。最近では帳簿を自動的に記帳できる会計ソフトなども安価に購入できますから、活用してみても良いでしょう。

では、青色申告で確定申告した場合、具体的にどのくらい節税効果があるのでしょうか?

メリット

青色申告は帳簿の作成がやや複雑ではありますが、計上できる経費の範囲が広がるため、節税効果は抜群と言えます。

青色申告するメリット

  1. 青色申告特別控除
  2. 青色事業専従者給与
  3. 純損失の繰越しと繰戻し

まずは65万円の控除が受けられる制度についてご説明致します。

1、青色申告特別控除

所得金額は、総収入から経費を引いて計算しますが、青色申告特別控除を受けると、所得金額からさらに65万円の青色申告特別控除を差し引くことができ、納めるべき税金額や低くなります。

例えば収入が700万円、経費が250万円、その他医療費などの控除額が100万円あったとしましょう。この場合青色申告と白色申告では、納税額にどのくらいの差がでるでしょうか。所得金額によって税率と控除額が異なりますから、以下の速算表を使って計算していきます。

速算表

(引用)
国税庁

 

白色申告
所得金額 700万円ー250万円ー100万円=350万円
所得税額 350万円×20%ー427,500円=272,500万円
青色申告
所得金額 700万円ー250万円ー100万円ー65万円=285万円
所得税額 285万円×10%ー97,500円=187,500円

所得税額は青色申告の場合85,000円の節税になります。

さらに住民税や国民健康保険の保険料も課税所得から計算されるため、金額を抑えられる可能性があります。

2、青色事業専従者給与

青色申告者で配偶者や親族(15歳未満を除く)に給与を支払っている場合、支払った金額のうち相当部分を必要経費とすることが出来ます。

3、純損失の繰越しと繰戻し

青色申告者で、事業によって発生した純損失を、よく年以降3年間に渡って所得金額から差し引くことが出来ます。
さらに、前年も青色申告していた場合に限って、純損失の繰越の代わりに損失分を前年分の所得金額に繰戻して控除し、所得税の還付を受けることも可能です。

例えば株式投資専業者の場合、株式投資によって発生した損失を翌年3年間繰り越すか、前年の利益と相殺させて還付金を受けることができます。

青色申告特別控除と青色事業専従者給与は、青色申告をするための条件を満たす(事業所得として税務署から認められる)ことが必要でしたが、損失の繰越は、通常の確定申告でも受けることが可能です。

株式投資家が確定申告を活用すべきケース

株式投資家が確定申告すべきパターンは、

  • 繰延べをさせたい損失がある
  • 一般口座や源泉徴収のない特定口座での売買

以上の2ケースが挙げられます。

先程申し上げたように、損失の繰越は青色申告者でなくても通常の確定申告で可能です。事業所得であるかどうかは関係なしに、損失の繰越ができるので損失額が大きかった方等は手続きすることをおすすめします。

損失の繰越

青色申告者の純損失の繰越しと同じように、通常の確定申告における損失の繰越し期限も翌年以降3年間となっており、株式投資に限らず投資信託やETF等における損失も繰越し出来ます。

繰越したい損失ー500万円が平成25年に発生したとして、翌年以降の流れを見ていきましょう。

https://moneybridge-online.com/wp-content/uploads/2019/11/kurikoshi-min.jpg

1年目は株式投資で+400万円の利益が出たものの、前年の損失額のほうが大きかったので相殺し課税対象額はゼロです。さらに残ったー100万円を翌年に繰越しました。

2年目は株式投資の取引自体なかったものの、前年残ったー100万円を翌年に相殺させる可能性があるため確定申告をして繰越しました。

最後の年となる3年目では残っていた分のー100万円が消失します。この年の株式投資で発生したー200万円の損失は、翌年以降に繰り越されます。

株式投資をして損失が発生した場合、確定申告をすることで税金の過払いを防ぐことが出来ます。特定口座内ではその年における損益通算を証券会社で行いますが、特定口座が複数に渡る場合や、3年間の繰越しを利用する場合は確定申告をしましょう。

株式投資によって発生した損失の繰越など、確定申告をすることでメリットを享受できることも確かですが、逆に支払いが増えてしまうケースもあります。

株式投資で確定申告する際の注意点

注意点は2つです。

国民健康保険の保険料が高くなる可能性がある

確定申告不要制度を利用し、証券会社で税金周りの手続きは全て済ませてしまえば関係ないのですが、確定申告をしたことによって課税対象の所得額が増え、国民健康保険の保険料が上がる場合があります。株式投資では利益率が高く、確定申告によって以降の保険料が大幅に上がったケースも珍しくありません。

NISA口座内の株式投資における損失の相殺及び繰越は不可

NISA口座内で発生した損失においては、損失とは認められません。NISA口座内、NISA口座ー特定口座間での損益通算や損失の繰越はできませんのでご注意ください。

まとめ

青色申告はたしかにお得であると言えます。しかし、株式投資が事業レベルであることが認められる必要があることから、専業トレーダー等を除いて条件を満たすことはかなり難しいでしょう。サラリーマンなど、給与所得が生計を立てる収入のメインになっている場合は、青色申告をすることができません。

青色申告は出来なくても、通常の確定申告をすることによって株式投資等で発生した損失の相殺や繰越しが可能なので、ぜひ活用してみてください。

編集部員
さくら
納税は国民の義務。税金面は知識としてしっかり理解しておきたいところです。

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