税金に注意!死亡保険金の受取人は子供がベストな理由
生命保険の契約の際に悩むのが、受取人。
「誰が受け取っても同じでしょう?」
そう思う人も多いのではないでしょうか。
しかし、受取人によって保険金にかかる税金が大きく変わってくるのをご存知でしょうか。
場合によっては数十百万円単位で、違いが生じることも。
ここでは、死亡保険金の受取人は誰がなれるのか?、死亡保険金にかかる税金から死亡保険金の受取人変更の方法までを詳しく説明していきます。
死亡保険金の受取人は、ずはり「子供」にするのがベストです。
その理由を説明する前に、まずは、死亡保険金の受取人は誰がなれるのか?について解説していきます。
目次
- 1. 死亡保険金の受取人は誰がなれる?
- 1-1. 内縁関係・婚約者の場合
- 1-2. 同性パートナーの場合
- 1-3. 保険料の受取人を複数指定する
- 2. 指定した受取人によってかかる税金が変わってくる
- 2-1. 所得税がかかるケース
- 2-2. 相続税がかかるケース
- 2-3. 贈与税がかかるケース
- 3. 死亡保険金の受取人を変更したい場合
- 3-1. 被保険者が生存しているケース
- 3-2. 被保険者・受取人が両方亡くなっているケース
- 4. まとめ
誰がなれる?
死亡保険金の受取人は、誰でもなれるわけではありません。
基本的には、「配偶者または二親等以内の血族」を受取人に指定することが可能となっています。
と、言われてもイメージしにくいと思うので、 保険金の受取人に指定できる範囲を図にしてみました。
fa-arrow-circle-right配偶者または二親等以内の血族
つまり、具体的には、以下の人々が死亡保険金の受取人になることが出来ます。
- 配偶者
- 親・子供(一親等)
- 兄弟・姉妹・祖父母・孫(二親等)
いかがでしょうか?
そして、場合によっては、 二親等内の血族がいないという人もいるでしょう。
その場合は、三親等内の血族(叔父・叔母・甥・姪)などを指定できる場合がありますので、まずは保険会社に問い合わせてみるのが良いでしょう。
ここでも、二親等内の血族以外の方が、保険金の受取人になれるケースをいくつか紹介しておきます。
まずは、 内縁関係・婚約者の方についてです。
内縁関係・婚約者
最近、結婚をしても籍を入れない「事実婚」が増えつつあります。
このようなことからも、保険会社によっては既定の条件を満たせば、事実婚、内縁関係・婚約関係の方を受取人へ指定出来るようになっています。
そして、条件としては、以下のようなものが一般的です。
- 戸籍上の配偶者がいないこと
- 保険会社が定める期間、居住・生計を共にしていること
- 婚約関係の方であれば、定める期間内に結婚の予定があること
これらの条件を証明できる書類を提出し、認められれば、事実婚、内縁関係・婚約関係の方を受取人へ指定できる場合があります。
細かい条件については、保険会社によって大きく異なりますので、気になる方は問い合わせてみると良いでしょう。
しかし、内縁関係の場合は相続税や保険料の控除が受けられないなど、婚姻関係にある配偶者よりも不利な部分がありますので、その点は知っておく必要があります。
次は、同性パートナーの場合です。
同性パートナー
最近では、 同性パートナーでも受取人指定可能の生命保険が増えています。
保険会社によって異なりますが、場合によっては、パートナーシップ証明書や保険会社独自の確認書の提出が必要になる可能性があります。
こちらも同様に、死亡保険金の受取人にはなれても、相続税や保険料の控除対象にならない点は知っておくと良いでしょう。
いかがでしょうか?
最近では保険会社によっては柔軟な対応をしてくれるところも増えてきているようですので、初めから駄目だと決めつけずに一度問い合わせをしてみるとよいでしょう。
さて、保険料にかかる税金の説明へ移る前に、保険料の受取人人数に関して説明をしておきます。実は、生命保険の受取人は複数指定が出来るのです。
保険料の受取人を複数指定する
生命保険の受取人は1人だけではなく、複数人指定することも可能です。
例えば、子供2人を受取人に指定して、「長女50%・次女50%」のような割合で、それぞれ保険金を受け取れるようにすることも出来ます。
ここで1点注意したいのは、保険金の受け取り手続きの際は受取人全員の保険金受取に必要な書類を揃える必要があります。
例えば、受取人を3人にすれば、準備する書類も3人分になります。遠方にお住まいの方がいれば、書類を集めるだけで一苦労となる可能性もありますのでその点は注意しましょう。
また、保険金の支払いは代表者の口座にまとめて振り込まれることも多く、受け取った後の分配に手間がかかる可能性があることも頭に入れておくと良いですね。
このようなことからも、受取人を複数指定するのではなく、受取人ごとに小分けに契約するのも1つの手です。
例を上げれば、1000万円を1本契約して、長女と次女の2人を受取人に指定するのではなく、500万円を2本契約し、受取人を長女と次女それぞれを受取人として指定するといったようなものです。
ここまで、いかがでしたでしょうか?
まとめると、基本的に保険金の受取人に指定できる親族は、二親等以内の親族となりますが、各家庭の状況に合わせて柔軟な対応をしてくれる場合があるというものです。
重ねてとなりますが、保険会社によって異なりますので、気になることがあれば、保険会社に問い合わせてみるのが良いですね。
続いては、保険金にかかる税金についてです。
保険金にかかる税金が変わってくる
先ほど、保険金の受取人に指定できる親族は、二親等以内の親族と説明しました。では、 二親等以内の親族であれば誰を指定しても同じなのでは?
そう思う人もいるでしょう。
しかし、先述した通り、生命保険では、受取人を誰にするのかによって税金のかかり方が全く変わってきます。
具体的には、
- 被保険者は誰か?(保険の対象となっている人は誰か?)
- 保険料の負担者は誰か?(誰が保険料を支払っていたか?)
- 保険金の受取人は誰か?
これらがそれぞれどうなっているかにより、受け取る保険金は「所得税・相続税・ 相続税」のいずれかの課税対象となります。
そして、どの課税対象になるかによって、かかってくる税金の金額が変わってくるということです。
早速、1つずつ見ていきます。まずは、 所得税がかかるケースです。
所得税がかかるケース
所得税がかかるケースは、
- 保険料の負担者
- 保険金の受取人
が同じであったケースです。
そして、計算方法は以下の通りとなります。
所得税の計算式
課税対象となる金額=一時所得÷2
上記の計算式からわかる通り、支払い済みの保険金と受け取った保険金の差額が50万円以下なら課税されないということになります。
次は、 相続税がかかるケースです。
相続税がかかるケース
相続税がかかるケースは、
- 被保険者
- 保険料の負担者
が同じであったケースです。
そして、計算方法は以下の通りとなります。
相続税の計算式
※非課税限度額 =500万円×法定相続人の数(相続を放棄した人も含める)
ちょっと、ややこしいかもしれませんが、相続税に関しては不動産やその他の財産と合算したうえで課税され、大きな資産がなければ税金はかかりません。
よって、節税したいなら相続税が有利となりますね。
最後に、 贈与税がかかるケースです。
贈与税がかかるケース
贈与税がかかるケースは、
- 被保険者
- 保険料の負担者
- 保険金の受取人
が、全て異なっていたケースです。
そして、計算方法は以下の通りとなります。
贈与税の計算式
※贈与税は年間で110万円まで「基礎控除額」として非課税となります。
夫婦で生命保険に加入し、被保険者が「妻」となっているにも関わらず、夫名義の口座から保険料を引き落とし、「子供」を受取人にしてしまっている方も多いと思います。
この場合は、被保険者、保険料の負担者、保険金の受取人が全て異なっていることから贈与税の対象となり、余計な税金が発生しますので注意です。
上記のようなケースは、契約内容の見直しを考えると良いでしょう。
さて、ここまでくれば節税の観点から見ても、保険の契約時には「被保険者」と「保険料の負担者」を同じにするのが良いということは分かりました。
では、一体「保険金の受取人」は誰にするのが良いのでしょうか?
結局、保険金の受取人は誰にすべきか?
編集部の周りでは、配偶者(妻)にされている人が多いようです。
しかし、被保険者の「父親」が死亡し、保険金受取人の「母親」が保険金を受け取り、その後母親が死亡して再度「子供」が母親が受け取った保険金を相続するとなると「二次相続」となり相続税が高くなる傾向にあります。
そのようなことからも、生命保険の受取人は被保険者・ 保険料の負担者を同じにし、受取人を「子供」とするのがベストとなります。
続いて、保険金の受取人を変更したい場合について紹介します。
受取人を変更したい場合
保険金の受取人の死亡や、離婚などで保険金の受取人を変更する必要がある人もいるでしょう。
さて、保険金の受取人を変更したい場合はどうすればよいでのでしょうか?
ここでは「被保険者が生存しているケース」と「被保険者・受取人が両方亡くなっていたケース」に分けて説明していきます。
まず、 被保険者が生存しているケースです。
被保険者が生存しているケース
基本的に、死亡保険金の受取人変更には被保険者の同意が必要となります。
よって、 被保険者が生存している場合は、同意を得ることが出来ますので、死亡保険金の受取人変更手続き自体は簡単です。
流れとしては、以下の2ステップとなります。
- 保険会社へ電話などで連絡を行う
- 必要書類を作成後、保険会社へ返送する
必要書類としては、以下のようなものが挙げられます 。
- 名義変更請求書
- 保険証券
名義変更請求書は、保険会社に連絡をすれば郵送してくれます。
ここまで、大丈夫でしょうか?
被保険者が生存している場合、手続き自体は被保険者の同意を得て必要書類を送るだけとなります。
さて、次は、被保険者・受取人が両方亡くなっており、被保険者の同意が取れないという人の為に「被保険者・受取人が両方亡くなっていたケース」について解説します。
被保険者・受取人が両方亡くなっていたケース
被保険者・受取人が両方亡くなっていたケースの例を見ていきます。
Aさんが、生命保険に加入し、受取人を自身の「母」にしていました。
やがて、Aさんの母は亡くなり、死亡保険金の受取人の変更をしないまま、その後Aさん自身も妻を残して亡くなってしまいました。
さて、この場合はAさんの死亡保険金は誰が受け取るのでしょうか?
受取人・被保険者の両者が死亡している場合、保険金の請求は受取人の法定相続人が行います。
法定相続人とは、 配偶者、子供、孫、父母、祖父母、兄弟姉妹、甥姪までの範囲の人となります。
わかりにくいので、法廷相続人についても図にまとめてみました。
fa-arrow-circle-right法廷相続人
受取人・被保険者が死亡している場合、代表者が保険会社に問い合わせを行い、死亡診断書や戸籍謄本などの必要書類を準備し代わりに保険金を受取り、法廷相続人で均等にわけることになります。
と、いうことはこのAさんのケースも、Aさんの「配偶者(妻)」と「法定相続人」が受け取ることになります。
Aさんの法定相続人として「実妹」がいた場合は、Aさんの「妻」とAさんの「妹」の2人で 均等にわけることになります。1000万円の保険金であれば、500万円ずつ受け取ることになりますね。
いかがでしょうか?
万が一、Aさんが自分の妻の為に残したいと思っていた保険金だったとしたら、予想外に妹の方にも支給されてしまい、意図した人に受け取ってもらえなかった可能性もあります。
子供が出来たり、離婚をしたりで、「保険料を受け取って欲しい人」は変わっていく可能性があります。保険は、定期的に保証金額だけでなく受取人も一緒に見直すことが大切です。
最後に、まとめです。
契約時には所得税、相続税に注意
ここでは、生命保険の保険金受取人は誰がなれるのか?、保険金にかかる税金から保険金の受取人変更の方法までを説明してきました。
死亡保険金の受取人は所得税、相続税がかからないように、被保険者・ 保険料の負担者を同じにし、受取人を「子供」とするのが良いですね。
お金に関しては、知っていれば得をする部分がたくさんあります。
本サイトではこれからも継続してお金に関しての情報をアップしていく予定ですので、是非定期的に立ち寄ってみてくださいね。
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