日本人でもアメリカのヘッジファンドに投資できる?

アメリカのヘッジファンド
ヘッジファンドの起源は1949年頃にアメリカのアルフレッド・ジョーンズによって作られたと言われています。空売りやレバレッジを活用した運用や、成功報酬制を採用した初めてのファンドで、その後同じような形式のファンドがアメリカで続々と誕生し、運用手法も多様化しました。

アメリカ生まれのヘッジファンドは運用成績が良いことはもちろん、運用資産残高も多く、世界中で抜群の存在感を放っています。ここではアメリカのヘッジファンドランキングと代表的なファンドの投資手法やエピソード、日本人であっても出資は可能であるのか解説致します。ではさっそく、アメリカ勢が席巻するヘッジファンドランキングを見ていきましょう。

編集部員
さくら
世界的な知名度を誇るアメリカのヘッジファンドを一挙まとめて見ていきましょう!

この記事の要点

・ヘッジファンドは時に国家の脅威となる
・アメリカのヘッジファンドは最低投資額が高い
・利回り10%を超える国内ヘッジファンドがある

ランキング

10位から順に発表していきます。

10位 バウポスト・グループ(Baupost Group)

バウポスト・グループ

運用資産高(AUM) 295億ドル

アメリカのボストンに本社を構えるバウポストグループは、空売りは行わないというヘッジファンドでは珍しいポリシーを掲げています。2011年のユーロ危機の際、ヨーロッパにチャンスがあると拠点を一部ロンドンに移しました。

創業者のセス・クラークマンはニューヨーク出身のユダヤ人で、ハーバード大学を卒業後に大学の教授を含む5人でこのヘッジファンドを立ち上げました。”バウポスト”はこの5人のイニシャルを組み合わせたものだそうです。ヘッジファンドの投資手法は主にバリュー投資で、ウォーレンバフェットにもいくつか割安企業を紹介した経歴があります。

9位 デビッドソン・ケンプナー・キャピタル(Davidson Kempner Capital)

デビッドソン・ケンプナー
運用資産残高(AUM) 309億ドル

1983年、マービン・デビッドソンによって設立されたヘッジファンドはアメリカニューヨークに本社を構えます。アメリカ本社の他にロンドン、香港、ダブリンにも支社があります。

こちらのヘッジファンドはアービトラージ(裁定取引)と呼ばれる取引等によって利益を出しています。同じ価値を持つ商品であっても価格差が生じることがあり、この際に割高となっている方を売り、安くなっている方を買います。その後両者の価格差が縮まったところで反対売買をかけて利益を出す手法です。

8位 アダージ・キャピタル・マネジメント(Adage Capital Management)

運用資産残高(AUM) 320億ドル

アダージはアメリカボストンに本拠地を構え、寄付基金や財団をメイン顧客に資産運用を行っているヘッジファンドです。投資対象は主にアメリカ国内の企業でかつS&P500の対象企業ですが、毎年S&P500指数を上回る成績を上げています。

2015年には、ヘッジファンドの運用がS&P500を上回らなかった場合、手数料は返金すると発表し大きな話題と成りました。また、アダージの年間手数料は0.5%と、他のヘッジファンドよりもかなり良心的な設定になっています。(通常ヘッジファンドの年間手数料は2%が平均的)

7位 ミレニアム・マネジメント(Millennium Management)

ミレニアム・マネジメント
運用資産残高(AUM) 347億ドル

アメリカのニューヨークに拠点を置くミレニアムマネジメントは、複数の戦略を取りマルチに利益を追求します。アメリカニューヨークの本社に加えてグリニッチやジュネーブ、香港、東京などにも支社を構えています。金融理論等よりも、ビッグデータ等の様々な情報を活用して株価の動向を分析し、独自の選定基準に合った銘柄に投資を行うファンドです。

残念ながら現在こちらのヘッジファンドへの新規出資はストップしてしまっていますが、新規の流入資金がなくともアメリカのヘッジファンドで7位の座をキープしています。

6位 エリオット・マネジメント・コーポレーション(Elliot Management Corporation)

運用資産残高(AUM) 350億ドル

世界最大のアクティビスト(物言う株主)ファンドや、最恐のハゲタカファンドの名で知られるエリオットマネジメントは、不良債権での収益獲得が有名ですが、上場株式や債券、不動産投資からも収益を挙げています。投資手法が非人道的であるなどの批判も受けることが多いこちらのヘッジファンドですが、世界で最も成功したヘッジファンドの称号を得ました。

アメリカのニューヨークに本社を置き、アメリカ以外にもイギリスや香港、東京にも支社を構えています。

5位 ツー・シグマ・インベストメント(Two Sigma Investments)

ツー・シグマ
運用資産残高(AUM) 372億ドル

2001年にアメリカで設立されたツーシグマは、人工知能(AI)を有効に使って数学的・物理的・科学的なアプローチから投資方法を構築しています。数学的なアプローチを責任者のオーバーデックが、物理や科学的な方法を複合させた投資方法の構築を共同責任者のシーゲルが担当しています。

ノーベル賞の賞金を捻出するノーベル財団もツーシグマのヘッジファンドをポートフォリオの一部に組み入れるなどする、世界でも有数のヘッジファンドと言えます。

4位 JPモルガン・アセット・マネジメント(JPMorgan Asset Management)

JPモルガン・アセット・マネジメント
運用資産残高(AUM) 477億ドル

アメリカ・ニューヨークに本社をおくJPモルガン・アセット・マネジメントは、ヘッジファンドのイメージよりも一般金融機関のイメージが高いことから圧倒的な信頼感があるのではないでしょうか。

彼らが手掛けるヘッジファンドは複数ですが、アービトラージ取引(裁定取引)を主としたファンド等にAIを活用した投資手法を取り入れるなど、データサイエンス部門に注力していることがわかります。

3位 ルネッサンス・テクノロジーズ(Renaissance Technologies)

ルネッサンス・テクノロジーズ
運用資産残高(AUM) 570億ドル

2018年、多くのヘッジファンドが苦戦する中で、良い成績を挙げられたヘッジファンドの1つがルネッサンス・テクノロジーです。従業員に対して特別な退職金口座を用意するなど、福利厚生が素晴らしい点においても超一流であると言えるでしょう。

アメリカニューヨークに本拠地を置き、数学的なアプローチで利益を狙うヘッジファンドです。創業者のジェームス・シモンズはもともと経済学者ではなく、数学者でした。最も賢い億万長者としても有名です。

2位 AQR・キャピタル・マネジメント(AQR Capital Management)

AQR・キャピタル・マネジメント
運用資産残高(AUM) 900億ドル

昨年日本オフィスを設立したAQRはアメリカコネチカット州生まれのヘッジファンドです。株式や債券などをデータに基づき機械的に売り買いの判断を下すクオンツ運用を強みとしています。

株式や債券等の伝統的資産だけでなく、金などのコモディティ資産や、未公開株式(プライベート・エクイティ)にも投資対象を広げ、安定的な収益を狙います。

1位 ブリッジウォーター・アソシエーツ(Bridgewater Associates)

ブリッジウォーター・アソシエーツ
運用資産残高(AUM) 1247億ドル

堂々の第1位に輝いたのは、1975年より運用を開始したレイ・ダリオ率いるブリッジウォーターです。やはり1位もアメリカ生まれのヘッジファンドという結果になりました。

2018年は株式相場を初めとし、資産運用が不調であった年と評価されます。ヘッジファンドの多くも苦戦を強いられましたが、ブリッジウォーターは株式の値上がり・値下がり両方に対応する分散投資を効かせた戦略で利益を上げました。

ブリッジウォーターはもちろん優秀な人材のみが就職できる最高峰の金融機関です。しかしせっかく入社できても新入社員のうち30%は2年以内に退職する等、成績がかなり重要視される社風であります。厳しい環境をくぐり抜けた精鋭部隊がファンドに揃っているからこその1位と言えるでしょう。

(参考リンク)
・「BUISINESS INSIDER RANKED: The 10 biggest hedge funds in the US」(外部リンク・英語)

 

では1位に輝いたブリッジウォーターが運用するヘッジファンドの投資手法について詳しく解説致します。個人でそっくりそのまま真似することは難しいですが参考にすることは可能でしょう。

アメリカ発!ブリッジウォーターの投資手法

2018年に1位の座に輝いた理由は明白で、ブリッジウォーターの作るポートフォリオが不況に強いものであるからです。オールシーズンズ戦略と呼ばれるポートフォリオで、下げにも強い作りを目指しています。

ブリッジウォーターのポートフォリオの特徴

経済における季節は

  1. 経済成長
  2. 経済後退
  3. インフレーション
  4. デフレーション

の4つに分けられるとされ、このどの季節にもプラスのリターンを狙えるような戦略がオールシーズンズ戦略です。一般的に株式の値下りリスクは債券の3倍あると言われており、例えば50%ー50%でポートフォリオを組んだ場合、結局は株式のリスクが高くなり株式の値動きに左右されることが多くなります。

ここでレイ・ダリオは、資産配分を数量で決定するのではなく、リスク量で揃えたポートフォリオを設定しました。中身は債券がほとんどですが、中でも新興国の影響を受けるものが多数を占めます。レイ・ダリオが新興国債券に対して強気なことが伺えますね。

ブリッジウォーターの主な顧客は世界各国の中央銀行や政府機関、年金基金などの規模の大きい会社や団体となっており、個人での投資には相当の資金が無いと厳しいと言えます。

2018年のパフォーマンスが良かったのはブリッジウオーターでしたが、アメリカにはもっと規模の大きいヘッジファンドが存在します。それが次にご紹介するブラックロックです。

ブラックロック

ブラックロック

世界最大の資産運用機関ブラックロックもアメリカ発のヘッジファンドで、名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
ブラックロックと言えば、ETFのiシェアーズを組成していることで有名ですが、ヘッジファンド運用も主軸の1つです。

運用手法

ブラックロックが抱えるヘッジファンドでは上場株式等の伝統的資産はもちろんのこと、最近ではプライベートエクイティや不動産、金などの商品の割合も増やしています。
株式市場の効率化により、大きな機関投資家と個人トレーダーの運用利回り差は縮小してきており、ヘッジファンドに投資する意義を高めるためとされています。

ランキングの6位に位置していたエリオットマネジメントも、アメリカ生まれのヘッジファンドの1つです。興味深いエピソードがあるのでご紹介致します。

エリオット・マネジメント・コーポレーション

エリオット・マネジメント・コーポレーション
世界最大の物言う株主として名を馳せるエリオットもアメリカのニューヨークに本拠地を置くヘッジファンドです。投資手法から、エリオットはハイエナやハゲタカとも呼ばれます。

リターンの出し方

破綻した国債を破格の値段で買い占め、額面はもちろんのこと金利や返済延滞金等を含めた支払いを求め、訴訟を起こします。
裁判で勝つと、債務国のありとあらゆる資産を差し押さえ、リターンを得るという仕組みです。

買い取った債券の価格は10%以下のものが多いですから、数十倍はくだらないリターンをあげます。破綻して既に危機に瀕している相手に追い打ちをかける姿勢から、批判を受けることも多いいです。エリオットとの戦いに敗れた国家にアルゼンチンが挙げられます。

エピソード

2001年にデフォルト(破綻)したアルゼンチンの国債を非常に安い額面で引き取ったエリオットは、額面全額+金利+支払い延滞金等のペナルティを含めた金額をアルゼンチン政府に要求しました。

エリオットは訴訟型のヘッジファンドなので、もちろんアルゼンチンという国を相手取った裁判を起こし、最終的には投資額の12倍(ブルームバーグの報道では、アルゼンチン政府がエリオット側し支払った金額は22億ドルを上る)以上になったとのことです。

破綻した国家に追い打ちをかけるようなやり方で大きく非難を浴びましたが、大きなリターンを得たのも事実です。アルゼンチンのようにアメリカのヘッジファンドの餌食になって多額の損失を被った国もあります。ヘッジファンドは以前日本にも牙を剥き、日銀との攻防を繰り広げた過去があります。

VS日銀(財務省)

ヘッジファンドは政府や各国の中央銀行にも戦いを挑み、勝率も高かったのが確かです。この味を覚えたヘッジファンドが次に狙ったのが日本でした。日本は製造や加工により繁栄した輸出国です。一般的に輸出国は自国通貨が安い(円安)為替相場の際に利益を出しやすいです。

2003年8月頃から不安定なイラク情勢により、安全資産として知られる円は価値が高まり、円高傾向にありました。このタイミングを狙ってヘッジファンドは円集めを開始し、さらなる円高を目指したのです。

このままでは日本企業のうち特に輸出による利益を得ている企業やその下請け企業が総倒れになると考えた当時の財務省は、大規模な市場介入を行いました。これこそがのちに「日銀砲」と呼ばれる市場介入で、日本を救った財務省の功績であると言われています。

なんとかして円高を防ぎたい日本は、日銀が1分間に10億円規模の円売りドル買いを敢行します。1分間に10億円ですと1日に1兆円を有に超える金額ですが、ヘッジファンドが屈するまで続けるというのが当時の財務省による作戦でした。

 

結局日銀とヘッジファンドの攻防は35日間に及び、円高ドル安になる方に賭けたヘッジファンドは次々に倒れ、日本の勝利となりました。
この「日銀砲」によって倒産に追い込まれたアメリカのヘッジファンドは2000社にも及ぶと言われ、この日を境にヘッジファンド界では「日銀には逆らうな」というスローガンが出来上がったとか。

さて、日銀にこそ屈してしまったヘッジファンドが多かったのも事実ですが、アメリカのヘッジファンドの底力は個人では真似できないパワーとスピード、戦術を兼ね備えた最恐ファンドと言えます。そんなアメリカのヘッジファンドに日本から投資する方法はないのでしょうか?

アメリカのヘッジファンドへの投資方法

アメリカにおけるヘッジファンドの立ち位置ですが、日本とは少し異なり株式や債券、保険等と同じ棚にヘッジファンドが並んでいるような感覚で、ごく一般的に親しまれている金融商品の1つであると言えます。

アメリカのヘッジファンドもまとまった投資資金が必要な点では、日本のヘッジファンドと変わりません。しかしさすがはアメリカ。スケールが大きいので最低投資額のボーダーラインも桁違いに高いのが特徴です。ランキングに載っているヘッジファンドは特に規模が大きいですから、顧客層も年金基金や財団、学校など大きな団体が高い割合を占めるため、仕方ないと言えるでしょう。

 

アメリカのヘッジファンドに投資する場合の具体的な金額は日本円にして1億円~5億円が相場となっており、日本の個人が簡単に手を出せる金額ではないことがお分かり頂けるかと思います。さらに英語でのやりとりとなることも忘れてはいけません。英語に抵抗がない方であれば問題ないですが、ヘッジファンドの具体的な投資手法には専門的な金融用語も含まれますから、ビジネスレベル以上の英語かつ金融知識がないと100%理解するのは難しいと言えるでしょう。

ヘッジファンドへの投資に回せるお金が億単位である&英語に自信ありという方にはぜひアメリカのヘッジファンドに挑戦して頂きたいのですが、そうでない方には、日本国内のヘッジファンドもおすすめです。
運用資産高こそアメリカのヘッジファンドには及びませんが、パフォーマンスの面ではアメリカのヘッジファンドに劣りません。

おすすめの国内ヘッジファンド

イチオシの日本産ヘッジファンドをご紹介致します。

BMキャピタル

BMキャピタル
引用:BMキャピタルHP

BMキャピタルは東大・京大卒で外資系銀行出身の精鋭ファンドマネージャーが設立した日本を代表するヘッジファンドの1つで、運用開始から現在までマイナスリターンで終わった年が無いのが大きな特徴です。

特に2018年は苦戦したヘッジファンドが多かった中でもプラスリターンで終わり、BMキャピタルのパフォーマンスの高さを実感する年となりました。

BMキャピタルは”損失を出さないこと”を鉄則としており、ファンドマネージャーが徹底的なリスク管理をした結果ゆえの好成績と言えるでしょう。既に運用から6年が経過していますが、これまでの平均リターンは年間10%を超えています。

 

BMキャピタルの投資対象は日本株式ですが、日本株式の中でも割安と判断される中小銘柄に投資しているのが特徴です。BMキャピタル独自の割安基準にあたる銘柄をファンドマネージャーがピックアップし、時にはアクティビストファンドとして企業価値を高めるよう企業側に働きかけます。

割安と思われるタイミングで買付をすることがないことや、マーケットの影響を受けづらい中小株をポートフォリオに組み入れていることで、相場の下げに強く、圧倒的なリターンを生み出すことができるのですね。詳しい運用成績や投資方針、手数料体系については担当者と面談を受ける必要があります。BMキャピタルへの投資に関心がある方は直接連絡してみましょう。

 

まとめ

アメリカのヘッジファンドはさすがスケールが大きく、高いリターンが狙えるのが魅力的であることがおわかり頂けたかと思います。反面、アメリカのヘッジファンドへの投資には高い資金力と英語力が必要で、少々ハードルが高いのが難点ですね。

国内ヘッジファンドは運用期間こそ短いもののアメリカのファンドマネージャーに劣らない日本の優秀なファンドマネージャーによる好成績ファンドもあります。ぜひまとまった資金の投資先として検討してみてはいかがでしょうか。

編集部員
さくら
まずは手軽な国内ファンドから比較・検討を始めてもよいですね!

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