企業再生に一役買う?ハゲタカと呼ばれるヘッジファンド

ハゲタカファンド
2007年にはNHKで、昨年にはテレビ朝日で放送されたドラマ「ハゲタカ」をご覧になった方も多いのではないでしょうか。ライブドアや村上ファンドが絡んだ事件のイメージが強く、日本においてヘッジファンドやハゲタカファンドのイメージはあまりよろしくありません。

 

しかし、実はマーケットにおいてはキーパーソンとも呼ばれているんです。ここでは元証券ウーマンのさくらがヘッジファンドとハゲタカファンドの位置づけやPEファンドとの違いを解説致します。実際にあった事例も合わせてご紹介致します。まず、ヘッジファンドとハゲタカファンドにはどのような関連性があるのかみていきましょう。

 

この記事の要点

・ヘッジファンドとハゲタカファンド、PEファンドの位置づけは複雑で曖昧
・瀕死状態の企業を救い利益を出すのがハゲタカの役割

 

ヘッジファンドとハゲタカファンドの関係

ヘッジファンドは、少数の投資家から募った資金で多様な投資・運用を行い資金を増やしていくファンドです。

 

ヘッジファンドはいわゆる私募ファンドにあたるため、公には募集しておらず、わりと自由が効く状態で資金の運用をしていきます。私募ファンドの対になるものが公募ファンドです。公募ファンドは一般的に証券会社や銀行で販売されているような投資信託のことを指し、投資者の人数に規制はありませんが、投資者保護のために私募ファンドより厳しい規制が敷かれています。

 

私募ファンドでは、公募ファンドを運用するうえで禁止されている投資手法も許可されており、先物取引などを含むあらゆる手法でリターンを追求していきます。

>>ヘッジファンドとは?会社の実態と投資リスクを徹底解説

 

ハゲタカファンドは投資家から出資を受けたお金で経営状況が芳しくない倒産間近な企業の株式や債券を安値で大量に購入し、経営の実権を握り、あの手この手で経営状況の回復・企業価値の向上を目指します。そして再び企業の価値が高くなったところで株式や債券を売り、利益を出す手法のファンドです。

 

投資・運用手法が大きく異なって見えますが、ハゲタカファンドもヘッジファンドのひとつという位置づけとなっています。続けて、混同しがちなハゲタカファンドとPEファンドについても比較しながら見ていきましょう。

PEファンドとの違い

PEファンドのPEとは、英語Private Equty(プライベート・エクイティ)の略称です。ハゲタカファンドに対して、PEファンドは非公開(取引所に上場していない)企業を対象に投資します。

 

投資家たちから募った資金で企業に出資し、企業経営陣に割って入り、その企業の価値を高めます。そして価値が十分に高まったところで売却または取引所上場をさせ、利益を生み出すファンドです。

 

ハゲタカファンドと似ているように思えますが、PEファンドが出資するのは経営破綻間近な企業だけではありません。PEファンドの中でも上場はしていないが安定的な事業を行っている企業に対して投資するファンドをバイアウト(企業買収)ファンド、将来性のあるベンチャー企業に投資するのをベンチャーキャピタルと呼びます。

 

文字だけではわかりにくいと思うので下の図で位置付けを確認してみましょう。ヘッジファンドは投資手法を問わずリターンを狙うという定義ですから、ハゲタカにもPEにもあてはまります。

 

ハゲタカファンド

 

しかし、ヘッジファンドの多くは株などの売買で短期的な勝負に出ることが多く、ハゲタカやPEのように時間をかけることはあまりありません。ヘッジファンドの定義がかなり広いため、共通している部分もありますが、投資手法やかける時間に大きな違いがあるため、ヘッジファンドのひとつであると言い切るのは難しいです。(ここの捉え方は人によって少々違いがあります。)

 

少々ぼやっとしてしまいましたが、それぞれの定義と位置づけがわかったところで、代表的なハゲタカファンドの実績をみていきましょう。

事例

ハゲタカファンドが動いた事例として、有名なものを3つご紹介します。

1、ベインキャピタル社→東芝の稼ぎ頭であったメモリ部門の買収

2015年5月、東芝の不正会計が発覚し、金融市場は大混乱となりました。

 

経営陣が社員へかけていた異常な圧力により、利益の水増し報告がなされていたことが明らかになりました。利益どころが損失があったことも指摘され、東芝の株価は大暴落。結果、社長らを含む経営陣9人が責任をとった形で辞任しましたが、問題はこれだけでは終わりませんでした。

 

2017年には東芝の子会社であるアメリカのウエスチングハウスの巨額損失が発覚し、東芝にいよいよ上場廃止の危機が迫ります。なんとか上場廃止を逃れたい東芝は、稼ぎ頭であったメモリ事業をアメリカのハゲタカファンドと呼ばれるベインキャピタルをメインとした連合に売却し、ウエスチングハウスが計上した損失に充てました。

 

東芝のメモリ部門は早ければ2019年、難しければ来年に上場すると言われています。上場すればベインキャピタルをはじめとする連合は持っている株を売り、巨額の利益を得るでしょう。

2、NMLキャピタル社→アルゼンチン

世界では、企業だけでなく国を相手取って戦うハゲタカファンドもいます。

 

2001年、デフォルトに陥ったアルゼンチン。紙切れになる前にと大特価の値段で市場に流れたアルゼンチンの国債をこのNMLキャピタルが大量に買いました。当時、アルゼンチン政府と債権者たちの間では、国の債務負担を軽減して救済しようという動きがありましたが、NMLキャピタルをはじめとするハゲタカファンドはこれに応じず裁判を起こします。

 

裁判では結局NMLが勝利し、政府には巨額の借金返済命令が言い渡されます。その後もアルゼンチン政府とハゲタカファンドの間で抗争が繰り広げられますが、新たに就任したアルゼンチン大統領が交渉を再開、15年後にわたる泥沼の戦いが終わりました。これによってNMLキャピタルは16億6000万ドル程度(リターンにして約12倍)を得ています。

 

アルゼンチン政府との戦いは15年と超長期戦でしたが、短期で利益をあげるハゲタカも多いです。

3、ベインキャピタル社→すかいらーく

再びベインキャピタルの例ですが、2011年多額の負債をかかえていた日本の外食大手であるすかいらーくをベインキャピタル社が1600億円(推定)で買収しました。

 

買収前の2006年に上場廃止となっていましたが、買収されてからわずか3年後の2014年、東証1部に再上場を果たします。再上場後、ベインキャピタルは持っていた株を徐々に売却し、2017年11月に最後に残った20%を売却し、経営から退きました。

 

すかいらーくは21日、筆頭株主の米投資会社ベインキャピタルが、保有する全株式を売却すると発表した。発行済み株式の約20%にあたる3894万株を売り出す。売り出し価格や総額は明らかでないが、同日終値で計算すると650億円規模になる。
引用:>>日本経済新聞 すかいらーく、米ベインが全株売却 内外の機関投資家に(外部リンク)

 

上場時のすかいらーく時価総額は2300億円程ありましたので、かなりのリターン率だったことがわかります。

マーケットにおける役割

良い決着を迎えるハゲタカファンドと企業の例もありますが、中には自社の利益を優先するがゆえに無理のある経営改善計画を会社へ提示したり、相手となる企業にとってはあまりよくない印象を残すことも多くあります。

 

ファンド側が話を企業に話しを持ちかけた際と、実際に株式を保有してからではファンド側の態度がガラリと変わり、大量リストラが行われるなどもよくある話です。ハゲタカファンド側としては、企業の価値が再び戻らなかった場合、大量の株や債券はただの紙切れとなってしまいます。なので、企業価値を再び高めていくにあたって出来ることはなんでもするという姿勢で、多少の無理はどんどん実施していきます。

 

日本ではハゲタカファンドに対して、金の亡者や悪者といったイメージが先行していますが、アメリカなどでは、力の無くなった企業は買収されるという弱肉強食スタイルは当たり前という認識がされています。

 

投資手法や企業価値を高める過程においての経営介入のせいでハゲタカファンドは悪者呼ばわりされることも多いですが、会社にとっては倒産を免れたり、悪い慣行を絶った効率的な経営再建がなされるので、評価もされるべきです。(非人道的な無理強いはよくありませんが…)

 

ハゲタカファンドがまた新たな可能性を生み出してくれるのも事実ですので、日本に限らず世界のマーケットにおいては大切な役割を担っていると言えます。

ハゲタカファンドに個人でも投資できるのか?

ハゲタカファンドには個人でももちろん投資できます。

 

公に投資家を募集しているわけではありませんので、ファンドを運用する会社に直接連絡をし、運用方針や手数料、報酬体系に係る話を聞いて納得できれば投資可能です。通常の投資信託のように、誰でも気軽にはじめられる金額ではありませんが、運用に回せるお金が1,000万程ある方は検討する価値があると思います。

 

リスクはつきものですが、絶対リターンを狙うヘッジファンド・ハゲタカファンド・PEファンドの話は、今後の投資・運用メソッドの幅を広げてくれるはずです。興味のある方は一度話を聞いてみてはいかがでしょうか?

 

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